絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

契約

プチ投稿作品にして、100回目の投稿作品。
小悪魔とパチュリーのお話です。




「こら、逃げないの!」
「やーでーすー!」

 図書館で走り回っているのはパチュリーと小悪魔。
 涙目で嫌がり、羽をパタパタさせながら逃げる小悪魔を、賢者の石を投げながら追いかけるパチュリー。

「なんでそんなことしなくちゃならないんですかぁ!」
「絶対似合うと思うから!」
「やーでーすーよー!」

 止まらないで加速する小悪魔だが、

「うっ……くぁ」
「パ、パチュリー様!?」

 パチュリーが突然胸をおさえこみ、膝から崩れ落ちた。
 小悪魔はすぐ駆け寄るが、顔が俯いているため、顔色すらうかがえない。

「パチュリー様! 喘息……ではないですね。違う症状に見えますし。大丈夫ですか! パチュリー様!」

 必死に小悪魔はパチュリーの肩を掴み、声を上げる。
 すると、俯いていたパチュリーが顔を上げて、

「パ、パチュリー様! 大丈夫で――」
「ぷっ」

 口に咥えていた賢者の石を勢いよく吹矢のように吹き出す。それが小悪魔の額にストンと決まり、小悪魔はその場に気絶した。

「甘いわ小悪魔。初孫を初めて見たおじいさんより甘いわ。戦いは常に騙し騙されるが普通よ」
「うゃぅ……」
「さて、目的達成しなきゃ……」

 倒れている小悪魔の足を引っ張って運ぶ。
 うふふと笑いながら小悪魔を運ぶその姿は、ある意味魔女だった。





◇◇◇





 小悪魔は川を泳ごうとしていた。
 何故か分からないが、小悪魔は目の前の川を泳ごうとしていた。

 そして、いざ飛び込もうとした瞬間、小悪魔の隣りに小町が現れた。

「おや、ここは自力じゃあ渡れないよ?」
「何故か泳ぎたくて仕方無いんですが、ここ何処ですか?」
「ん? あっちに渡りたいのか?」
「はい」
「そうか、そんなに死に急ぐことは無いだろうに」
「え?」
「お前さん、あっち側は閻魔様がいらっしゃるよ」





「ふわぁっ!? やっばぁぁぁ!? 超ヤバイですよ!? 私悪魔なのに! 一応悪魔なのに、何のこのこ閻魔様のとこ行こうとしてんですか!? 絶対アウトでしょう!?」
「あ、起きた小悪魔?」
「あ、あれ?」

 小悪魔が勢いよく起き上がった場所は、図書館内に設置してある簡易ベッドの上だった。
 どうやら先程まで見ていたのは夢だったようである。

「パチュリー様! 私あと少しで死にそうだったんですけど!」
「大丈夫、貴女は死なない。私が守るもの」
「既に死にかけたんですが。貴女のせいで」
「まぁ本当に手放す気は無いから安心なさい。私と貴女の契約は、貴女が死ねば私も死ぬ。私が死んでも貴女は生きる」
「ちょ! 何ですかその契約! 私がパチュリー様と交わしたのは、使い魔としての契約でしょう!」
「私がちょっと前に勝手に書き替えた。薄っぺらいのは御免だわ。だから死なないでね」

 なんてむちゃくちゃな人なんだろうと小悪魔は思った。レミリアと親友というのもなんとなく理解出来た。似てないようで、むちゃくちゃなとこが、どこか似ている。

「はぁ……ていうかパチュリー様が死んでも私は死なないってトコが尋常じゃないくらい腹立ちます。不愉快です。納得が出来ません」
「あら、私に命をかけるつもり? 貴女は小悪魔と言えど悪魔。私の命尽きる時、他の誰かと契約を結べば良いじゃない。悪魔との契約、リスクを背負うのは私だけで十分でしょう」
「な!? 冗談じゃあありません!」

 パチュリーの言葉に、小悪魔は怒りを表す。
 小悪魔がここまで感情を爆発させるのは見たことが無かったパチュリーは、目を大きく見開いて驚く。
 そんなパチュリーの肩を痛いくらいに掴み、小悪魔は言う。

「私は貴女に仕えたいと思ったんです! 私の全てを捧げて、微力だけど、力になりたいと……支えていきたいと思ったんです! それを何ですか? パチュリー様だけ一方的に不利な契約を勝手にして!」
「私がリスクを背負う。それを私自身が認めているのよ。何の問題がある」
「問題ありありです! 私が認めません。私がこの図書館に住み着いてた頃、追い出すという選択肢も、そのまま殺すという選択肢もあったのに、貴女は私を生かして、私に居場所を与えてくれたじゃないですか!」



 昔、パチュリーが初めてここへ来た頃、本棚の影でびくびくと震えながら隠れていたのは小悪魔。小悪魔は本来、悪戯をしたりしてからかったりするような、そんなタイプだったのだが、紅魔館でそんな命知らずなことは出来ず、ただただ隠れていたのだ。

 パチュリーがレミリアに報告したときに、レミリアは好きにすればいいと言った。
 パチュリーには片手で小悪魔を滅する力があった。睨み、ただ一言「出てけ」と言い、追い出すことも出来た。だけれど、パチュリーは、怯える小悪魔の頭に手を置いて言った。

「私だけではここを管理仕切れない」
「え?」
「貴女には悪いけど、ここで働いてもらうわ」
「え? え?」
「何よ? そんなに嫌?」
「い、いえ! やらせて下さい!」
「そう……頼りにしてるわ」

 軽く笑い、パチュリーはそう言った。



「私は……あの日、パチュリー様に救われているんですよ! だから、だから……この身がどうなろうとも、貴女を守りたいと、ずっと支えたいと……思ってるんです」
「小悪魔……」
「なのに、そんな……契約を書き替えるなんて、パチュリー様は勝手です!」
「貴女は……悪魔らしくないわね」

 怒っていた筈の小悪魔は、いつの間にか涙を浮かべた悲しげな顔になっていた。
 そんな小悪魔を、そっと抱き締める。

「そう、私は勝手なのよ。でもね、貴女も勝手だわ」
「何がですか……」
「私は貴女を失うなんて、考えられない。私の為に死ぬなんて、そんなことは許さない」
「……主を守るのは、従者の役目でもあります」
「従者を守れないものが、主になる資格は無いのよ」
「……なら」
「……そうね、互いに支えあって、初めて理想的な関係になるんでしょう」

 二人は、抱き合っていたのを止めて、少し離れる。

「なら、再契約ね」
「そうですね」

 パチュリーが、足元を蹴ると、魔方陣が出現する。
 小さな魔方陣に、密着し二人が入る。
 淡く紫に光る魔方陣の上、見つめあう二人。

「私は貴女を使い魔とし」
「私は貴女を主とし」

 凜とした声。魔女としての風格。

「主として従者を守り」
「従者として主を守り」

 どこまでもまっすぐで、真剣な瞳。悪魔らしくはないけれど、そこにあるのは確かな気持ち。

「互いに信頼し」
「互いに支えあうことを」

 声が、重なる。

「ここに、契約す」
「契約させて、いただきます」

 淡い紫の魔方陣が、より発光する。

 最後に、二人は、契約の儀式。
 本来ならば、厳密な書類などに血の契約を交わすこともあるのだが、今回は最も簡単な方法。

 唇を重ね合う。
 何秒、何分経ったかは分からない。
 発光を止めた魔方陣の中、二人は再び離れる。

「契約内容、変更完了ね」
「こんな何度も変更していいんですかね?」
「大丈夫、力の強大な悪魔ならともかく、弱っちい小悪魔だから負担もほとんど無いわ」
「な!? 酷くないですかぁ!?」
「それより小悪魔、貴女気付いて無いの?」
「はい?」
「貴女の服」
「ふぁ? ってえぇぇぇぇ!?」

 小悪魔の格好は、超ミニの淡い水色スカートが特徴的な、メイド服だった。
 最初に、小悪魔はこれを着せられるのが嫌で逃げていたのだ。

「気絶してる間に着替えさせましたね!?」
「うん」
「あっさり白状!? って私もしかしてこの格好で契約交わしてたんですか!?」
「そうよ。真剣な顔だったけれど、可愛かったわよ」
「最悪ですよ! どこの悪魔が超ミニスカートメイド服で真剣に契約交わしてるんですか! 世界捜しても私だけでしょう!?」
「良かったわね。歴史に残るかもよ。どこぞの寺小屋で習うかもね」
「最悪すぎる名前の残し方じゃないですか!」
「あはは」
「笑わないで下さい! もうパチュリー様の馬鹿!」

 涙目で怒る小悪魔を、笑いながら流すパチュリー。
 こんなやり取りが、これからもずっと続いていくのだろう。
東方SS | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<100回投稿! | ホーム | 略して!>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |