絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

まず仕事をしましょう。

映姫さんとさとりさん。
 

「お、起きてください、さとり様!」
「んぅ~……どうしたの、お燐? まだお昼の二時じゃない……もう少し寝かせてちょうだい」
「寝すぎですから! さとり様に、ある人が会いに来てるんですよ! だから起きてください!」
「ある人? 誰だか知らないけど、お帰り願いなさい。古明地さとりは今とっても忙しい、とお返事しておいて」
「……どうなっても、知りませんよ?」

 ベッドの上で布団から出ようとしないさとりに、燐はため息を吐いた。

「もうよろしいです、火焔猫燐。後は私がなんとかしますから。あなたは仕事に戻ってくれて、構いません」
「は、はいっ。では、さとり様をよろしくお願いします。あ、あんまり叱らないでくださいね。こんなだらだらしてても、一応私の主なんで」
「叱るかどうかは、さとりの態度次第です」
「んぅ?」

 燐がぺこりと頭を下げて、部屋を去る。
 さとりは二人の会話を耳にし、燐の相手の声がどこか聞いたことあるような気がしてならなかった。のっそりのっそりと、布団から顔を出し、その人物を確かめようとする。
 するとそこには、さとりの数少ない友人、映姫が突っ立っていた。とっても笑顔で。けれども何やら、どす黒いオーラを身に纏っている。

「は、はろー閻魔様」
「お久し振りですね。目覚めの気分はどうですか、古明地さとり?」
「な、なんでしょう、暑かったのか汗がぶわっと出てきて、あまりよろしくないですね」

 引き攣った笑みを浮かべるさとり。だらだらと、一気に汗が出てくる。もちろん、暑さのせいなんかではない。
 空が技を使うときに鳴る警告音よりも、きっと今のさとりには大きな警告音が聞こえているだろう。

「さて、さとり」
「は、はい」
「悔悟の棒とお説教、どちらが良いですか?」
「……い、痛くない方で」
「まぁあなたに選択権など初めから無いですけどね」
「っ!?」

 さとりが言い訳を発するよりも、映姫が悔悟棒を振り下ろす方が早かった。
 ふぉんっ、ぐしゃっ!





 ~少女説教中~





「映姫、お茶とコーヒーと紅茶、何が良いですか?」
「その前にまず、あなたは頭から出てる血を拭きなさい」
「むぅ……映姫がやったんじゃないですか」

 映姫のお仕置きで大ダメージを負ったが、そこは妖怪、傷自体はもうなんともない。ティッシュで血を拭きとると、綺麗さっぱり元通りだ。
 映姫はソファに腰掛け、キョロキョロと室内を見渡す。

「ふむ、部屋は散らかってませんね」
「当たり前ですよ、子供じゃないんだから。それに私は、そんなだらしなくないです」
「二時まで寝ていた者が、何を言いますか」

 映姫に睨まれ、さとりは少し怯む。

「べ、別に何をして過ごそうが人の勝手でしょう」
「確かに、個人の自由です。しかし、最低限の仕事もしていない者に、その権利があると? 今日私がなんで来たか、分かっていますよね?」
「な、なんのことでしょうか」

 もちろん、さとりが分かっていないはずが無い。仮に分かっていなかったとしても、心を読むさとりなら、今この瞬間に映姫の目的が把握できる。
 映姫は悔悟の棒を再び握った。
 それに対し、両手をわたわたさせて慌てるさとり。

「じょ、冗談ですってば! ほら、ボケですよボケ! 軽い古明地ジョークです!」
「なるほど、ボケですか。では私は全力でツッコミをしなければ、空気を読めていないことになりますね」
「お、落ち着いてください映姫! ほら、私とあなたの仲でしょう?」
「私は今、何故あなたと友人なのか心の底から疑問です」
「酷いっ!?」

 ため息を吐きつつ、悔悟の棒を離す。
 さとりはホッと一息。

「あまりあなたを叱らないでくれ、とあなたの部下に頼まれましたしね。やめてあげましょう」
「まったくもう……映姫はもう少し心に余裕を持った方が良いですよ。そんな狭い心じゃあ、世の中渡るの大変ですよ」
「あなたに世の中の渡り方を教えられたくないですね」
「それ、何気に酷いこと言ってますよね?」
「さとりが半引きこもりの話とか、そんなこと今はどうでも良いのです。私はあなたの仕事状況について、話をしに来たんですから」
「映姫、さり気なく私の心を折る気ですか?」

 ちょくちょく棘のある言葉に、ある意味悔悟の棒で叩かれるよりも心にダメージを負うさとり。
 もちろん、映姫はわざと棘を含み言っているのだが。

「単刀直入に言いますね。さとり、報告書の提出が遅れていますね?」
「あー……はい、ちょっとだけ」
「ちょっと? 一ヶ月に一回の定期報告が、何ヶ月遅れてるか分かってます?」
「ろ、六ヶ月くらい? てへ」

 ぺろっと小さい舌を出して、ごめんねアピールをするさとりに対し、映姫は手を伸ばす。そして、その舌を親指と人差し指でぎゅっと摘まみ、ぐいぐいと引っ張る。
 いふぁいいふぁい、と言葉になっていないさとりの声。

「ふひまふぇんでふぃた!」
「何を言っているのか分かりませんけど、きっとあなたは有罪です」
「ふぉんな!?」

 両手をぱたつかせながら、ちょっと涙目になってきたさとりを見て、さすがにこれ以上は可哀想かと判断し、手を離す。
 映姫の手が離れた瞬間、さとりはキッと睨んで一言。

「舌が取れちゃうかと思ったじゃないですか!」
「閻魔ですし。本当に抜いちゃっても良いんですよ?」
「そういう脅しは、閻魔としてどうなんですか?」
「脅しじゃ無ければ良いのでしょう? 安心して下さい、私はやるときはやるタイプです」

 映姫の笑顔を見て、あぁ本気でやりかねないなと思ったさとり。

「まったくもう……せっかく久し振りに会ったというのに、映姫はもう少し友人に対する優しさというものはないんですか?」
「あなたがまともに仕事をこなしてくれていれば、私は普通に接することが出来るのですけどね」
「そうは言いますけどね、私だって忙しいのですよ。お燐たちペットの世話や、旧都の治安管理などですね――」
「旧都は鬼の勇儀が居る時点で、まず滅多なことは起きません。そもそも旧都は治安良いですし。あとペットの世話と言っていますが、今日の出来事を見た感じ、逆にさとりが世話されてるような気がしてならなかったのですが」

 言葉を遮られ、まさに図星を突かれたさとりは、わざとらしく目を逸らす。
 はぁ、と映姫はため息を零した。友人であるからこそ、それなりの付き合いだからこそ、さとりの性格もある程度把握している。時折こうやって注意しに来ないと、定期的にだらけてしまうのだ。
 本来なら六ヶ月分も溜まる前に直接映姫が注意しに来れば良いのだが、映姫もそこまで暇ではない。特に小町というサボりがちな部下が居るせいで、そっちを優先して注意しなければならない。

「さとり、私も暇じゃあないんですよ?」
「ちなみに今日お仕事は?」
「休暇です。じゃなきゃ、わざわざ来ませんよ」
「ほら、あれですよ。私が仕事をサボげふんげふん……遅らせちゃうのは、実はこうやって映姫に会いたいからとか」
「今さらっと本音が漏れてましたよね? 例え会いたいからの方が本音だとしても、迷惑すぎるのでやめてもらいたいです。何が楽しくて、せっかくの休日に友人を叱りに行かなきゃならんのですか」
「叱りに来なきゃ良いんじゃないですかね」
「その前に仕事をちゃんとこなせば良いんじゃないですか」
「いやいや、よく考えてくださいよ。六ヶ月提出しなくても特に支障はなかったわけですから、もういっそ提出しなくて良いんじゃないかと思うのです」
「私がいろいろフォローしてたんですよ、馬鹿さとり」
「あ、馬鹿って言いましたね? 馬鹿って言った方がヤマザナドゥ(笑)なんですよ?」
「どんな理屈ですか。そしてその馬鹿にしたような言い方をやめなさい。あなたは今、全ヤマザナドゥを馬鹿にしたも同然ですよ」
「安心してください、私が馬鹿にするヤマザナドゥは映姫だけですよっ」
「よし、その喧嘩買いましょう」

 立ち上がる映姫を、まぁまぁ落ち着いてと宥める。
 互いにいつものことなので、別に本気で喧嘩する気など全くない。

「とにかく! 溜まった分の仕事を今日中に清算してもらいますからね」
「映姫、久し振りに会ったのですから遊びませんか? トランプでババ抜きとかヤマザナドゥ抜きとかポーカーとか」
「……そこまで仕事するのが嫌ですか」
「仕事するのが嫌というよりは、毎回毎回特に書くことのない報告書なんて、飽きるんですよ。なんですか? 何事もなく平和です、とでも書けば良いんですか?」
「寺小屋の子どもたちの読書感想文でも、もっとまともに文章書きますよ……」
「じゃあもう、毎月異変でも起こせば良いんですかね。そしてその内容を報告書に」
「博麗の巫女に迷惑をかけるのはやめなさい」
「あれもだめーこれもだめー。まったく、映姫は私に何を求めてるんですか」
「報告書の提出です」
「もう映姫が好きに書いちゃって構いませんよ。私が許可します」

 この怠け者、どうしてくれようかと考える映姫。何を言っても、ふらりふらりとかわして、まともに受け入れない。
 もうどうしようもない状況だ。だが、諦めてこのまま帰るというわけにも行かない。
 今の映姫を支えてくれる味方は、腰掛けているソファくらいだ。


「……はぁ、ある程度フォローはしますから、せめて形だけでも提出してください」
「善処はしましょう」

 映姫が本気で疲れているように見えたので、さとりはさすがにふざけるのをやめる。
 そして立ち上がり、温かいお茶を入れて、それを映姫に差し出した。

「どうぞ、映姫。疲れが取れますよ。それに心が落ち着きます。疲れているなら、お茶で一息するのも悪くないですよ」
「ありがとう、さとり。主に疲れている原因はあなたなのだけど」
「分かりましたって、ちゃんとやりますから。映姫が過労で倒れたりしたら、後味悪いですし」
「今日中ですよ?」
「ですから、安心してください。なんだかんだで、私はやるときはやりますから」
「今日中ですからね?」
「あ、そうだ! クッキー食べます? 最近お菓子作りにハマってましてね、自信作なんですよっ。えへへっ」
「今日中、絶対約束ですからね?」
「映姫、たまには泊まっていきません? 久し振りですし、いろいろお話しましょうよ。下着とか寝巻とかは貸しますから」
「あの、だから、今日中に……」
「えへへ、楽しみですね。今日は映姫に会えて、本当に嬉しいです」
「いいからまずは仕事しろこんちくしょう!」
「ごふぁっ!?」

 さとりの腹部に、閻魔流ストレートパンチ。
 結局、映姫にずっと見張られつつ、朝まで作業を続ける羽目になったそうな。
 
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コメント

気づくのに遅れてすみません。とっても面白かったです!
映さと映さと! 映さともっとはやれ!
すばらしいSSをありがとうございました
2011-05-07 Sat 00:27 | URL | ちゃいな [ 編集 ]
感想ありがとうございますっ。ちゃいなさんのSSを読んで、映姫様とさとり様のコンビも良いなぁと思ったのがきっかけだったりしますw
もっと増えても良いと思うのです! よ!
いえいえ、こちらこそわざわざご感想ありがとうございましたっ!
2011-05-07 Sat 00:46 | URL | 喉飴 [ 編集 ]

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