絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

はぴばすで

霊夢の誕生日は? そんなお話です。ameさんのお誕生日に書いたSSでしたー。
 
 
「さぁ始まりました! 『あなたは誕生日に何を貰いたい? ドキッ、恋する乙女は指輪が欲しい』というわけで、霊夢さん、何が欲しいかいいやがれこのやろー!」
「あんたの命」
「さらっと殺害予告!? い、いや待てよ? これって、プロポーズにも取れるんじゃあ……あなたの人生を、私に下さいみたいな。なーんだ、それならそうとハッキリ言って下されば――」
「えーと、トンカチとか包丁はどこにしまったかしら。それでこいつを徹底的に潰しましょう」
「もはや弾幕ごっこですらなくなったー!?」

 割と生命の危機を感じた文は、ふざけるのをやめる。そして、おとなしく霊夢の横に腰掛けた。
 博麗神社の縁側は、相変わらず日当たりが良く、ぽかぽかとした陽気に思わず眠気を誘われてしまう。霊夢が室内ではなく、普段よくここに居るのは、恐らく居心地が良いからなのだろうと文は思っている。

「あ、これお土産の射命丸文写真集です」
「あら、ありがとう。あとで燃やしておくわ」
「相変わらず冗談をさらっと殺しますね」
「あんたがくだらないこと言うからでしょ? で、今日は何の用なわけ?」

 面倒そうな霊夢に対して、文はきょとんとした表情をした。

「さっき言ったじゃないですか。霊夢さんは何が欲しいかって」
「お賽銭」
「……わざわざ誕生日にお賽銭貰わなくても。今度新聞の特集で、誕生日に何が欲しいかみたいなことを載せようかと思ってるんですよ。ほら、誕生日って意外に何渡したら良いか分からないじゃないですか?」
「あー、ちょっと分かるかも。ずっと前、魔理沙に誕生日プレゼントで、お湯をかけると右腕が生えてくる特殊なキノコプレゼントしたんだけど」
「それ普通の人泣きますよね?」
「予想外に泣かれちゃったわ」
「でしょうね。というか、何記念すべき日に呪われてそうな気持ち悪いアイテムプレゼントしてるんですか」
「いやーだって、あいつって珍品とかキノコとか集めるの好きだったし。だったら珍品とキノコが合体したようなものなら、より喜ぶかなーって」

 霊夢は何気なく言うが、正直そんなものを渡された女の子が泣くのは当たり前である。いくら魔理沙といっても、そんな悪い意味で衝撃的なものを渡されたら、泣く以外の選択肢がない。
 文はそのキノコを想像しようとして――やめた。一度想像してしまったら、夢に出て来そうな気がしたからだ。穏やかに眠る時間を、そんなわけの分からないキノコに邪魔されたくない。

「まぁそんな霊夢さんの異常感覚な話は置いとくとして」
「ちょっと待て、誰が異常感覚よ」
「霊夢さん自身は、今まで何を貰ってきたんですか? いろんな方から貰ってそうなイメージがありますけど」
「うーん、毎年決まってるのよねぇ。その日は、魔理沙が家事やってくれるってことくらい」
「魔理沙さんが家事を? それは意外ですね。では他には?」
「何渡して良いか分かんないからって、あいつは家事をしてくれるのよ。他には、魔理沙以外からは、ないわね」

 さらりと言った。
 霊夢はそれが当たり前のように言ったが、文からすれば意外なことこの上なかった。あれだけ多くの妖怪に好かれ、妖怪退治もこなし人里からの信頼もそれなりにあるはずなのに、魔理沙以外からは何もない。そんな事実が、意外だった。

「それは何か事情がおありで?」
「だって、みんな私の誕生日なんて知らないからよ。私も、魔理沙もね」
「はい?」
「物心ついたときには、もう博麗として私は存在したもの。いつ生まれたかなんて訊かなかったし、私も別に興味無かったわ」
「……では、何故魔理沙さんは?」
「あいつはね、ずっとずっと前に、私に言ってきたの。私が霊夢に初めて勝った日を、お前の誕生日にしてやるってね。強引だし、意味も分からないし、なんで負けた日なのよって思ったけど、悪い気はしなかったわ」

 霊夢は、少し嬉しそうに話した。
 初めは地雷を踏んでしまったかと思った文だったが、霊夢自身、本当にどうでもいいことだと思っているように見えた。悲しそうな瞳も、寂しそうな表情も浮かべない。
 けれども、魔理沙に祝ってもらっていると話す霊夢は、どこか楽しそうで、それでいて嬉しそうにも見えた。やっぱり、祝ってもらうことに悪い気はしないのだろう。

「それなら、その日教えてください。私も是非、お祝いしたいので」
「嫌よ」
「ちょ、なんでですかぁ!?」

 即断る霊夢に、割とショックを受ける文。
 これでもし、魔理沙と私だけの日なんだから、とか言われたら、思わず嫉妬してしまうかもしれない。そんなことを思いながら、文は霊夢の言葉を待つ。

「だって、その……なんか嫌じゃない。自分が負けた日、言うの」
「は?」

 少し不機嫌そうに、そして頬をちょっぴり赤く染めながら、霊夢は言った。
 予想外すぎる理由に、文は思わずぽかんとしてしまう。

「えっと……それはどういった意味で?」
「……昔の自分が負けた日なんて、言いたくないに決まってるじゃない」
「意外です。正直、そんなこと気にしないタイプの人かと」
「気にするわよ、それなりに。しかも、相手が魔理沙だとね」

 魔理沙はよく霊夢をライバル視していると聞くが、それはまた霊夢も同じなのかもしれない。霊夢の今の様子を見て、文はそう思った。
 それは普段の霊夢からは、想像がつかない一面だった。
 その姿が見れて嬉しいと思う反面、魔理沙の存在が霊夢にとって特別のように思えて、文は少しムッとしてしまう。なんとなく、面白くない。そう思ってしまう。

「……妬けちゃいますね」
「は? なんか言った?」
「いいえーべっつにー。ねぇ、誰にも言いふらしたりしませんから、その日教えて下さいよ。私も盛大にお祝いしますからっ!」
「嫌だって言ってるでしょ。大体、よりにもよって一番知られちゃまずい相手じゃない、あんた」
「むぅ、失礼な。これでもプライバシーは守りますよ。相手が本当に嫌がることはしません。記者として、当然です」

 霊夢よりは大きい胸を張って、自信満々に言う文。
 しかし、霊夢はジト目だ。何も言葉を発していないのに、「信用なんて出来るか」という言葉が聞こえてきそうな目つきだった。

「あのー……私って、そこまで信用ないですかね? 一緒に異変も解決した仲なのに」
「あんた、私を利用したとか言ってなかったかしら?」
「う……そ、それはーそのー」
「冗談よ。ちょっとは信頼してるわよ。ちょっとわね」

 わざとらしく「ちょっと」という言葉を強調している霊夢。
それは照れ隠しからくるものか、それとも本心からくるものか。文は出来ることならば、前者なら良いなぁと思った。

「じゃあ教えて下さいよ~」
「だーめっ! 恥ずかしいもの」
「むー……あ、なら私も作っちゃいます」
「は? 何を?」

 霊夢が頭に疑問符を浮かべていると、文は立ち上がり、霊夢の正面に回った。
 そして、スカートのポケットをまさぐり、三枚のスペルカードを取り出す。その文の行動に、霊夢は眉をひそめた。

「霊夢さんの誕生日、私も作ります。もちろん、私があなたを倒して、です」
「……本気? というか、馬鹿? 誕生日は一日だけでしょう?」
「良いじゃないですか。魔理沙さんだってそうやって強引に決めたのでしょう? なら、私だって、私とあなただけの誕生日を作ってみせるだけです。さぁ、私のスペルカードは三枚! いきますよ!」

 口調はいつものように、ふざけているような感じではあったが、瞳の奥に見える真剣さは本物だった。
 それを感じとった霊夢は、すぐさまその場から離れる。先制攻撃を避けるためだ。ふわりと空に舞うと、そこには予測していたのか、既に文が構えを取って待ち伏せていた。

「っ……本気ね、あんた」
「いえいえ、ちゃんと手加減はしますよ。怪我させたくないですし、人間相手に本気を出しちゃあ、大人気ないですから、ねっ!」

 文が起こした突風に、体勢を崩されそうになる。少しでも隙を見せてしまったならば、幻想郷最速は見逃してくれないだろう。
 霊夢は目つきを変えて、袖から針やお札を取り出す。

「そっちがその気なら、手加減しないわよ!」
「元より手加減など無用です!」





 ~少女弾幕中~





「ほら、私の勝ちです! どんなもんですか! わーいわーい、これで今日はあなたの誕生日認定です。……ってなるはずだったのに、どうしてこうなった!」

 勝負は数分だった。
 最初は圧倒的に勝っていた文だが、徐々に霊夢の動きの鋭さが増していき、最終的には幻想郷最速でも捉えきれない瞬間移動の類まで使用され、ちょっと動揺した瞬間に被弾。
 このあっけない結末には、霊夢も予想外だったらしく、思わずぽかんとしている。

「あー……あんた、なんていうか」
「何も言わないでください」
「あれだけ言っておいて、まさかの、ねぇ」
「やめてー! そんな憐れんだ瞳で見ないでー!」

 格好良く決める筈が、逆に負けた上に、相手に同情の目で見られては、いろいろとずたぼろである。
 文は地面に仰向けに寝転がったまま、霊夢を見る。ちょっと涙目で。

「いや、あんたから仕掛けてきたことなのに、涙目で見られても……」
「はぁ……なんでこんなときに負けてしまったのでしょうか」
「無駄に張り切りすぎたんじゃない? でも、うん、あんたの想いは伝わった気がする。ありがと、文」
「同情ですか?」
「素直によ。だって、私のことを想っての行動でしょ? 素直に嬉しかったわ。だから、その、ありがと」
「……はぁ、あなたの珍しい表情が見れたから、良しとしましょうかね」
「ちょ、私今どんな表情してるのよ!?」
「頬を赤く染めて、まさに初恋しちゃいましたーみたいな」
「張り倒すわよ?」
「わーお、怖い怖い」

 文の言葉は半分嘘で、半分本当。赤くなっている様子は、文にとって素直に可愛いと思うものだった。
 こんな姿を魔理沙は見たことがあるのだろうか。ないだろう。どんなもんだい。と、無駄に対抗意識を燃やしつつ、心の中でそう呟く文。

「ま、良い誕生日かもね」
「へ?」
「私が文を簡単に倒した日、それがあんたが作ってくれた誕生日」
「いや、それは私にとって非常に屈辱的な日なのですが」
「大丈夫、私にとっては最高に気分が良い日だわ」
「大体最初、反対してたじゃないですか。誕生日が二つもあっちゃおかしいって」
「良いのよ、私が勝ったんだから」

 霊夢は気分が良さそうに笑って見せた。
 初めは、こんなもの無効だーと反論しようとした文だったが、その笑顔を見て、どうでもよくなった。たった一つの恥だけで、こんな笑顔が毎年見れるのならば、それは安いもんじゃあないか。そう思ったのだ。
 気が付くと文は、無意識にシャッターを切っていた。霊夢の笑った顔が、ばっちりと収まった。だが、突然撮られたために、霊夢はムッとした表情へ変わってしまう。

「へへっ、あはは」
「何負けたくせに笑ってんのよ、気持ち悪い。しかも、勝手に人を撮るんじゃない」
「勝負には負けましたけど、良いスマイルをいただいたので、良しとします」

 文はゆっくりと起き上がり、体を軽く動かす。もう回復したようだ。

「で? 私の誕生日とやらに、あんたは何をしてくれるの?」
「さっきの勝利がプレゼント、なんて」
「じゃあ毎年負けてくれるのかしら?」
「冗談ですよ。そうですね、今は手持ちがないので……あ、じゃあ頭を撫でてあげます」
「殴られたい?」
「じゃあ、抱っこでも」
「恥ずかしくて死ぬわっ!」
「ふむ?」

 その言葉に、文がいやらしく目を光らせた。
 その目に思わず、びくっとしてしまう霊夢。

「ふふふ……博麗の巫女が抱っこされてる姿、誰かが見たらどう思いますかねぇ」
「ちょ、あんた、それプレゼントっていうか罰ゲーム!」
「いえいえ、何を言いますか。立派なプレゼントです。私がこんなことするなんて、まずないですからね。貴重ですよ?」
「いらんわー!」

 ダッシュで逃げようとする霊夢だが――その先には既に文が居た。

「ひっ!」
「怯えなーい、怯えなーい。ほーら、抱っこ抱っこ~」
「やーめー!?」

 妖怪の力は人間よりも強い。
 もちろん、霊夢はそこらの雑魚妖怪よりはそれでも力は強いが、相手が文となっては流石に抵抗出来ない。
 文はとっても良い笑顔で抱っこしているが、霊夢は目を合わせることすら恥ずかしく、顔をそらして両手をばたつかせ、暴れるだけ。しかし、その程度では文の拘束が外れるわけも無く、強制抱っこは続いた。

「あはは、可愛い可愛い」
「降ろしなさい、こらっ!」
「ほーら、たかいたかーい」
「やーめーてー!」

 にやにやとした笑みを浮かべ、とっても満足そうな文。それに対し、真っ赤になって本気で暴れる霊夢。
 二人にとって、いろんな意味で印象に残る誕生日になった。
 
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