絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

話術

割と昔のノリを思い出しつつ、フランちゃんとパッチェさん。

 
 
「宴会でどうすればいいか?」

 フランドールの質問に、パチュリーは首を傾げた。読んでいた本を閉じて、机の上に置く。
 そういえば今夜は宴会だったっけ、と思い出す。

「うん、私って今回が初めてだから」
「あーそうだったかしらね。とは言っても、あの混沌とした騒ぎに挨拶なんて必要ないとは思うけど」
「それでもやっぱり、私あんまり他人と関わったことないから。その……会話の盛り上げ方とかも分からないし」
「そんなこと言っても、私だって割と他人と関わらないタイプよ? レミィに訊けば良かったんじゃないかしら」
「お姉様に訊いたら、初対面の相手には足を出して舐めさせて永遠の忠誠を誓わせるのが、吸血鬼の常識だって」

 二人とも、想像をしてみる。
 初対面の相手にいきなり「えへへっ、初めまして。えっとね、足を舐めろ。そして私の下僕になれ」と言ったなら、どうなるか。宴会に参加している者たちは幻想郷の中でも異色を放つ者たちだらけだから、もしかしたらその場で弾幕ごっこ突入かもしれない。
 ある意味、幻想郷らしいっちゃ幻想郷らしい。どたばた騒ぎに突入するくらいだろう。

「良いんじゃない、別に。それはそれでユニークな人って思われるかもしれないわよ」
「えー? 何こいつ、って思われないかな?」
「そこはもう相手次第ね。鬼とか相手にやれば、確実に弾幕ごっこに持ち込める気はするけど」

 ただし、鬼と妹様が弾幕ごっこを神社でしたら、神社崩壊は目に見えてるけど。そんな言葉を言いかけて、しかし言わないでおいた。神社が崩壊しようがしまいが、パチュリーには全く関係ないからだろう。
 初めての宴会ということで、フランドールは少し緊張しているように見えた。とりあえず、パチュリーは席に座らせる。

「それで結局、パチュリーは会話の盛り上げ方とか知ってる?」
「そうね……ないことはないけど」
「あるのっ? 教えて教えて!」
「とは言っても、正直私自身がこういうことはあまり得意じゃないし、本の知識よ。それでも良いのなら、ね」
「もちろんっ! パチュリーの知識は信頼出来るからね」

 そこまで言われてしまっては、言わないわけにはいかない。パチュリーはため息混じりに、過去に読んだことがあるそういう類の本から得た知識を、思い出す。
 フランドールはわくわくといった表情だ。

「そうね、確か共通点を見つけると良いってあったわ」
「共通点?」
「えぇ。そうね……妹様、私に自己紹介してみて」
「え? あ、わ、私はフランドール・スカーレットって名前です。吸血鬼で、レミリア・スカーレットっていうお姉様がいます。趣味は……えーと、読書とか遊ぶこととかかな」
「あら、偶然! 実は私もなのよ」
「え?」
「私もレミリア・スカーレットの妹な上、フランドール・スカーレットって名前なの」
「そっち!? ここでの共通点って普通は読書とかじゃないの!? それただのドッペルゲンガーだよ!」

 フランドールに言われ、おおっと声を上げるパチュリー。
 そして、ぱちぱちぱちと拍手。

「凄いわ妹様、その発想はなかったわ」
「むしろなんで名前の方にいったのさ……」
「ほら、同じ名前だと盛り上がるじゃない」
「分からなくはないけど、お姉様の妹っていうのが共通点の時点でおかしいよ。うん、でも分かった。共通点を見つけて、そこからお話して盛り上がるんだね」
「えぇ、そうよ。他にも、いろいろと例えてあげたりするのも良いらしいわ」
「例える?」

 よく意味が分からず、疑問符を浮かべる。
 何をどうすればいいのか、パチュリーの言葉を待つ。

「そうね、例えば妹様はアリスの容姿をどう思う?」
「えっ? いや、綺麗な人だなーって思うけど」

 図書館に出入りしているアリスを、フランドールは何度か見かけていた。たまにパチュリー、小悪魔、フランドール、アリスの四人で軽いお茶会のようなものをしたこともある。
 アリスの姿を思い浮かべて、真っ先に出てきたものは「綺麗」という言葉だった。

「それじゃあダメなのよ。それを例えてあげるの」
「どんな風に?」
「あなたはまるで人形みたいに綺麗ね、とか。そんな簡単な感じで良いから。褒められて、悪い気はしないでしょう?」
「うん、褒められるのは嬉しいかなっ」
「ちなみに例えを凝りすぎるのもよろしくないわ」
「えっ、なんで? 凝った表現の方が、良いと思うけど」
「そうね、じゃあ実際にやってみてあげる。妹様、私に挨拶してみてくれる」

 一体何故凝った言いまわしはいけないのか。疑問に思いながらも、フランドールは言われた通りに挨拶をすることにした。

「こんにちは、私フランドール」
「私はパチュリーよ。あら、あなたってまるであれね」
「えっ?」
「馬に人を足して、弓を持たせた感じのたくましい雰囲気があるわ」
「ケンタウロス!? それケンタウロスだよね!?」
「とまぁ、例えばたくましさを表現するのにこんな凝った言い回しをしてしまうと、相手が不快になる可能性があるのよ」
「え、うーん、そうなのかなぁ……パチュリーのその例えがおかしいだけな気がするけど」
「口答えしない、フランドール・ケンタウロス・スカーレット」
「ミドルネームみたいにしないでよ!? 嫌だよ、そんな名前!」

 フランドールは思わず、自分の体がケンタウロスになっているのを想像してしまった。頭をぶんぶんと左右に振って、その想像を蹴散らす。
 しかし、パチュリーの言った「例える」ということは一応使えそうだと判断し、しっかりと覚えておくことにした。

「あとはそうね、常に笑顔っていうのもあるわ」
「常に笑顔?」
「そう。笑顔は人を笑顔にさせる。不快な顔してたら、なによこいつってこっちまで不快になっちゃったりするでしょう? それの逆ね。何を言われても、えへへって言っておけば、それで良いのよ」
「確かに笑顔は良いと思うけど、何言われてもえへへっていうのは……」
「じゃあちょっと試してみましょうか。今から私が妹様にいろいろと話しかけるけど、全部えへへで返してみてくれる?」
「え? う、うん」

 フランドールはもう既に、嫌な予感しかしなかった。

「私、パチュリー・ノーレッジっていうの。あなたの名前は?」
「えへへ」
「そう、えへへっていうのね。良い名前だわ。そうだ、何か飲む?」
「えへへ」
「ごめんなさい、えへへってお酒はないみたいだから、とりあえず日本酒で良いかしらね。はい、どうぞ。私は趣味が読書なんだけど、あなたは?」
「えへへ」
「へぇ、変わった趣味を持ってるのね。そうそう、私は体力に自信がないのだけど、あなたは?」
「えへへ」
「余裕の笑み……自信満々なのね、羨ましいわ。っ!? ごほっ、ぐ、ぜ、ぜんそくが……」
「えへへ」
「その笑みは、安心しろ必ず助けてやるって意思の現れね。ありがとう。……とまぁこういう風に、話は弾むし問題も何も起きなかったでしょう?」
「えへへ――じゃなかった、いやいやいや!? 無理があるよ! 名前変わっちゃったじゃん! あと趣味がえへへで、どんな趣味なの!?」
「私が知るわけないでしょ、そんなの!」
「逆切れされた!?」

 ぎゃあぎゃあ。
 じたばた。
 ぺしぺし。
 ぽかぽか。
 賢者の石!



 ~少女争い中~



 数分後、争いを終えてところどころボロボロになった二人。

「とりあえず、教えられることは教えたわ」
「うぅ……不安しかないよ」
「私の知識、信頼してくれているんでしょう? 大丈夫、もし妹様が何かミスをしても、私やレミィが傍でフォローしてあげるから」
「……本当?」
「本当本当、魔女は嘘吐かないわ」
「もうそれが既に嘘くさいけど……うん、私信じるよ。いろいろありがと、パチュリー」

 ふにゃっと笑うフランドールに、パチュリーも薄くだが笑みを浮かべた。
 そして宴会本番、フランドールはパチュリーに教えられたことを実行した。えへへ、までやった。学んだことは、全てやった。
 すると、フランドールは周りから中々にユニークな人物という認識をされ、わいわいきゃあきゃあ揉みくちゃにされつつも、初めての宴会を楽しめたそうな。
  




あとがき

 
全てはパチュリーさんの計画通り!
最近忙しくて、書きたいものが多いのに手がつけられない~ってなることが多いです。
というわけで、どうも喉飴とかいう者です。
今回はちょっと久し振りに懐かしいテンポで書いてみました。楽しかったです。
パチュリーさん自体久し振りに書いた気がします。
凄く関係無いですけど、なんかパッチェさんに本で殴られてみたいですよね。
さて、そんなこんなではありますが今回のお話、少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいです。
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