絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

メディスン経験値上昇中

普段お世話になっている、みとさんのお誕生日に捧げたメディスンSSでした。
なんとも新しい組み合わせになってしまった気がしましたががが。
何気にメディスン初書きでした。
 
「そう、貴方は少し視野が狭すぎる」

 その言葉が、やけに頭に残っていた。
 鈴蘭畑からあまり出たことが無いのは事実。他人の協力なんて、考えたこともなかった。少し癪だけど、あの偉そうなやつの言う通りだった。
 だからこそ、永遠亭の人たちと交流を始めた。みんな優しいし、そこそこ親しく慣れたと思う。
 そう、つまりはそろそろ次のステップへと進むべきよね。交流の輪を広げ、より多くの人を利用しげふんげふん……協力を求め、いつか人形解放へ!

「よし、行こう!」

 そうと決まれば、行動だ。
 もう視野が狭いだなんて言わせない。今日一日で、より多くの人物を味方につけよう。





 ~妖怪の山~





 ここには強力な力を持った人物がたくさんいるって聞いたことがある。その分ハードルは高そうだけど、成功した場合の利益はきっと大きい。
 いざとなったら、毒を使って逃げてしまおう。面倒なことになる前に。

「けど、山の何処を目指せばいいのかな? うーん、やっぱりてっぺん?」
「そこのお前、止まれ!」
「ひゃっ!?」

 突然の大声に、思わずびくっとする。うぅ……驚いて変な声出ちゃった。
 声のした方を見ると、大きな剣と盾を持った人物。誰だろう?

「用件はなんだ? ここは天狗の領地。部外者が軽々しく立ち入って良い場所ではない」
「あなたは誰?」
「質問をしているのはこっちだ。それと相手の名を訊ねる時は、まず自分から名乗るのが礼儀だろう」

 ふむ、なるほど。相手を知りたいときは、自分から名乗るのが礼儀なのね。うん、また一つ賢くなった。
 つまり、名乗れば相手も名乗ってくれる。よし、名乗ろう。

「こんにちは、メディスン・メランコリーよ」
「え?」
「……あれ? 名乗ってくれないの?」
「あ、や、い、犬走椛」
「ふーん、椛っていうんだ。良い名前だね」
「名前に良いも悪いもない」
「そう? 自分の名前がペペロンチーノとかだったら、私なら大泣きするけど」
「あぁ……それなら私も泣きそうだ。って、そうじゃなくて! 一体何しにここへ来たのかと!」

 ぶんぶんと頭を振って、私に剣の切っ先を向けてくる。危ないなぁ、もう。私何も悪いことしてないと思うけど。
 うーん、苛々しやすい人なのかな。

「まぁまぁ椛さん、そうパリポリしないで」
「カリカリしてるの! パリポリだろなんか食べてるみたいだろ! いいから目的を早く言えと!」
「目的……目的ねー」

 なんて答えれば良いのか。
 協力者を探しに来ました、なんて言ったら「はぁ?」ってされちゃいそうな気がする。なんて言えば良いのだろう。

「えっとね、友達作りに来たの」
「はぁ?」

 おっと、これならいけるかと思ったけどダメだったみたい。これなら本来の目的も達成できそうだし、いけると思ったのだけど。
 なんだこいつ、みたいな目で見られてる。うわー失敗。

「えっと、とりあえず帰ってくれると助かります」

 急に敬語になった。あ、あ、なんか可哀想なものを見る目で見られてる!

「ちょ、ちょっと待って!」
「うん、あなたならきっと友達出来ますよ。頑張ってくださいね」

 頭を撫でられる。ん、ちょっと気持ち良いかも……じゃなくて!
 頭をぶんぶんと振って、手を払う。
 このままじゃいけない。なんとかしないと。あぁ、椛さんの笑顔が痛い。このままじゃただ「山になんか可哀想な子が来た」っていう印象だけしか残せない。

「良い子だから帰ろうね。じゃないと私以外の見張りに見つかって、大変なことになっちゃうよ」
「椛さん椛さん、友達になって?」
「私は今仕事中だからね。あんまり困らせないでくれると嬉しいな」
「もーみーじーさーんーっ! 私は真剣なの!」
「あーもう、そんなに大声上げて騒いだら、他の天狗に見つかるってば」

 その瞬間、一陣の強い風が吹いた。
 私も椛さんも、思わず目を瞑ってしまう。そしてもう一度目を開いた時には、その風の中心に何処かで見たことある人物。えーと、誰だっけ。

「面白いことになっているようで、飛んできちゃいましたよ」
「……文さん」
「なんですか椛、その嫌そうな顔は」
「いえいえ、何も。よりにもよって、かなり面倒なタイプの人に面倒な場面を見られたなぁなんて、全然思ってませんよ」
「椛はあとでお仕置きね。さて、メディスンさん、お久し振りです」

 あーあー思い出した。
 なんか凄い速い天狗だ。確か、射命丸文だ。以前の異変の際に、出会った相手の一人だ。そっか、この人も天狗だから山に住んでるのか。
 椛さんが私と文を交互に見る。どうやら顔見知りだということが不思議なようだ。

「いけませんねぇ椛。こんな可愛い子が友達になりたいって言ってきてるのに、それをあんな投げやりに断るだなんて」
「どっから見てたんですかあなたは……」
「椛が格好良く、そこのお前止まれーって言ったところからですね」
「あぁなるほど最初からと」
「さぁメディスンさん、もう一度トライです! 今ならきっと、椛も真面目に聞いてくれます。ね、椛?」
「拒否権ないですね、その威圧感たっぷりの笑顔」

 えーと、なんだかよく分からないけど、もう一度言えば良いのかな。
 文の妙な笑顔と、椛さんのとてつもなく嫌そうな顔が少し気になるけど。

「椛さん椛さん、友達になってください!」
「う……いや、その」
「さぁ椛は真剣な少女のお願いを蹴るのか! 蹴るのか!」
「文さん少し黙ってて下さい斬りますよ」

 ぴたりと大人しくなる文。
 椛さんは私の目の前でしゃがむ。身長差があるから、ずっと見上げてた私を考慮してくれたんだろう。優しいなぁ。
 そしてごほんごほんと、わざとらしい咳払いを二つ。少し、どきどき。

「あー友達っていうのはね、なってくださいって言ってなるようなものじゃないと思う。お願いしてそういう関係になるっていうのは、本当の意味での友達にはなれないんじゃないかな」
「……うん、そうね」
「けど、君が私と友達になりたいと思っているのなら、私も君と友達になれるように努力することを約束しよう。それは君がお願いしたからじゃなくて、私がそうしたいから。君と友達になりたいから」
「え?」
「だから、その……今すぐ友達にはなれないけど、これから時間をかけて仲良くなろう。よろしく、メディスン」
「っ!」

 そう言って、椛さんは笑顔で手を差し出してきた。なんだろう、胸がぽかぽかする。ただ純粋に嬉しい。うーん、別に友達になることが目的じゃなかったんだけど……ま、嬉しいんだからいっか。
 ぎゅっとその手を握る。握手だ。椛さんの手は、私よりも大きくて温かい。少しごつごつっとしてるのは、きっと剣とか盾とかを普段から扱っているんだろうなと予想出来た。

「おーおー美しい友情。私泣きたくなっちゃいましたよ」
「あなたが言うと、とても薄っぺらく聞こえますね」

 ぱちぱちと拍手をして、祝福してくれる文。

「しかし、今後どうするので? 椛以外の者が見張りだった場合、メディスンさん下手したら襲われますよ」
「私の家へのルートを教えればそれで済みます。もしくは私が彼女の方へと行けば良いだけです」
「よくそこまで面倒見ますねぇ」
「約束しちゃいましたしね。約束は守るものでしょう?」
「相変わらず真面目な性格で」
「あなたとは違いますからね」
「蹴って良いですか?」
「蹴り返しても良いのなら」

 二人とも笑顔だけど、言っていることは中々に物騒だ。
 えーと、二人は仲が良いのか悪いのか。よく分からないけど、きっとそんなに仲が悪くはないんだろうなと思う。なんか、そんな空気がする。

「で、メディスンさんは友達を作りに山へ?」
「うん、そうよ」
「だったら私とも友達になりませんか? 今なら洗剤もつけて――」
「あなたは新聞そのものか!」

 にへらっとしている文の顔を、剣の柄の部分で椛さんが叩いた。あーあー手加減してるだろうけど、あれは痛そう。文が顔を押さえて「ぬぉぉぉぅぅぅ……」って変な呻き声上げてる。
 文には悪いけど、少しおかしくて、笑ってしまいそうになった。

「も、椛……良い度胸をしてますね」
「メディスンを悪から守っただけです」
「失礼な! 私はむしろ善でしょう! ねぇ、メディスンさん?」
「え、あ、そ、そうね……あはは」
「愛想笑いで返された!? くっ……せっかく何かネタになるかと思って出てきたのに、踏んだり蹴ったりです」

 悔しそうに私と椛さんの方を睨む。いや、睨まれても困るのだけど。

「さぁ、とりあえず今日はもう帰った方が良い。私は仕事中だし。これ以上他の天狗に目をつけられると、厄介だから」
「椛さんの家は?」
「あー……文さんに聞いておいてくれると助かるかな。文さん、後はお願いしますね」
「まったく、こういうときだけ私を頼って……はいはい、後は任せておいてください」
「それじゃあまたね、メディスン」

 にこっと微笑み、ひらひらと手を振る椛さんに、私も「またね」と言って手を振り返した。
 文に手を引かれ、その場を去ることに。せっかくだし、もうちょっとお話したかったな。けど、また会えるよね、うん。
 山から出ると、文が何やら紙を取り出し、そこにさらさらと書き始める。

「はい、これ椛の家の場所です。最短ルートを書いておきましたし、そんな入り組んだ場所でもないので迷うこともないはずです」
「ん、ありがとー」
「一人で帰れますか?」
「もちろんっ!」
「それなら私はここまでですかね。椛の方には、あなたの家の場所を教えてきます」
「あ、わざわざありがとう」
「いえいえ、友達ですからこれくらい当然です」
「え、あ、う、うん……そうだよね、わ、私たち友達だよね、あはは」
「だからその愛想笑いをやめてください!」

 文が期待通りの反応をしてくれたので、ふにゃっと笑う。
 すると、文はこほんと咳をする。

「まったくもう。では、私はこのへんで」
「うん、いろいろありがとー文。またね」
「はい、またお会いしましょう。そのときは、ネタを提供してくれると助かります」
「あはは、考えておくわ」

 風を纏いながら、文は凄い速さで山へと戻って行った。相変わらず速い。触れることすら出来なさそう。
 ふとそらを見ると、いつの間にやら茜色。うん、そろそろ帰ろう。

「あれ? そういえば友達を作ることが目的だったっけ?」

 なんか当初の目的とは違った気がするけど、まー良いよね。似たような目的だった気がするし。
 さて、スーさんのいる鈴蘭畑へと戻ろう。そしてスーさんにお話しよう。新しい友達が出来たよって。
 そんなことを考えながら、ふわりと体を浮かして自宅へと向かう。
 冬の風がいつもより、少し温かく感じられた。





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