絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

厄と嫉妬

プチ投稿作品。パルスィと雛のお話。
甘さは控えめ。この組み合わせのSSも、もっと増えて欲しいです。





「こんにちは。水橋パルスィさん」
「……あんた誰よ?」
「人に正体を尋ねるときは、まず自分から住所氏名年齢生年月日好きな食べ物嫌いな下着の色前世来世まで言うのがルールでしょう?」
「そんなに!? っていうかあんた私の名前知ってたじゃない」
「じゃあ貴女が水橋パルスィさん?」
「えぇ」
「ふーん……厄いわね」
「は?」
「ううん、思ったより胸無いのねって言っただけ」
「言ってなかったじゃない!」

 パルスィの元に突然現れたのは雛だ。ふわり長いスカートをなびかせながら、笑顔でパルスィに話しかけてきた。パルスィにとっては怪しい人物としか見えていない。

「で、結局誰よあんた?」
「知りたい?」
「……別に。さっさと私の視界から消え失せてくれるなら知る必要もないわ」
「鍵山雛よ」
「消え失せる気が無いのね」
「厄神、鍵山雛」
「厄神?」

 聞き慣れない言葉に、眉をひそめて疑問符を浮かべるパルスィ。

「そ、厄神。全ての厄を私が引き受ける」
「ふーん」
「あら、素っ気無いわね。もっと、ズギューンとかドドドドドとか凄い反応を期待していたのに」
「別に。あんたが厄神だろうと私には関係無いからよ」
「いやいや、関係あるから来てるんじゃない」

 今日出会ったばかりの人にいきなり、私と貴女は関係ある、などと言われたら人はどういう反応をするか。

「頭大丈夫? 何、ナンパ?」

 今のパルスィみたいな反応をするだろう。当たり前だ。怪しすぎるのだから。

「頭は正常、ナンパねぇ……それも楽しそうだけど」
「お断りします」
「まだナンパをしていないのに丁重に断られたから、本来の仕事をするとするわ」
「本来の仕事?」
「そう、私の役目」

 雛は人指し指でパルスィをビシッと指す。
 いきなりの行動に、パルスィは目を大きく見開いて驚いた。

「貴女、嫉妬しすぎ! 厄溜まりまくってるわよ!」
「え、でも、私は嫉妬の……」
「口答えしない!」
「は、はいっ!」

 雛は怒っている目付きと口調だが、その容姿からでは怖いというより、むしろ可愛らしさがある。プンプンと怒っているような、そんな感じだ。
 ただ、勢いに負けたパルスィは、少したじろぐ。

「知り合いが作ってくれた、この厄レーダーを見てびっくりしたわよ。地下に異常な厄があったんだもの」
「えーと、それって」
「そう、あ・な・た!」
「……なんかすみません」
「厄溜め込みすぎるとどうなるか分かってる? 朝起きたら耳に水入れられるみたいな悪戯以上に不幸なことが起きるのよ?」
「はぁ……」
「例えば10秒間に50回近くタンスの角に足の小指と額をぶつける、みたいな不幸!」
「地味に最悪ね」
「その他にも……」
「ってふざけるなぁ!」
「え? きゃあっ!?」

 いきなり現れた相手に、クドクドよく分からないことを言われるというこの状況に、とうとうパルスィは痺れを切らした。
 パルスィは向けられていた人指し指、それを無視して手首を掴み、勢いよく引き寄せる。
 しかし、勢いが強すぎたせいか、パルスィの胸に雛が収まるような体勢になる。

「あんたねぇ、いきなり現れて意味分からないことを……」
「ぅ……」

 雛はこの状況に少しだけ頬を赤くするが、怒っている最中のパルスィは気付いていない。

「えと、パルスィさん。とりあえず手首離して」
「え……って、あっ!? ご、ごめん」

 言われてやっと気付いたパルスィは、手首を離す。
 互いに、他人と深く関わることを避けてきたから、こんなことは初めてだった。
 雛の手首には未だにパルスィの感触が残っていた。
 パルスィはパルスィで、雛の手首を掴んだ時の柔らかい感触を、思わず思い出してしまう。

「あー……えと」
「う、なに?」

 微妙に気まずい。

「それで私の役目は」
「あ、話戻すのね」
「貴女、水橋パルスィさんの厄を回収しに来たのよ」
「あーそうなの。あと、さん付けはやめてくれない? 慣れないわ」
「じゃあパルちゃん」
「やめろ」
「パルスィ・ボルト・マハッ」
「名前変えるな! 普通にパルスィで良いわよ」
「じゃあ私は雛様ね」
「何であんたは偉そうなのよ」
「冗談、雛で良いわ」

 笑ってそう言う雛。
 と、ここでふとパルスィは気付く。別に今後一切会うことは無いだろう相手に、こんな約束は意味ないだろうと。

「はい、ちょっと失礼するわね」
「え? な、なな!?」

 そんなことを考えているパルスィを、雛は正面から抱き締めた。それは先ほど密着していたよりも、ギュッとしているものだった。
 パルスィは耳まで真っ赤にして動揺しているが、雛は目を瞑り、冷静だ。

「ひ、雛! いきなり何!?」
「厄を引き受けてるのだから暴れないで」
「抱き付く必要性は!?」
「普通なら手に軽く触れたりとか空気を通して吸収したりとかで良いのだけれど、パルスィの場合は厄が溜まりすぎてるから、時間短縮のために密着してるのよ」
「あ、あんたはさっきと違って何でそんな冷静なのよ!?」
「んー? 私の役目って思ってやってるからかしらね」

 しばらくそのままギューッと密着していたが、厄を回収し終わったのか、雛は離れる。

「はい、終わり」
「や……やっと終わったのね」
「ごめんね。嫌だった?」
「え、あ、嫌とかそういうのじゃなくて……って何言ってるの私は!?」

 一人頭を抱えるパルスィを見て、クスッと笑う雛。

「良かったわ。嫌って思われて無くて」
「え?」
「だって貴女、これからも嫉妬をやめないでしょう?」
「当たり前」
「だったら……」

 雛はパルスィを見つめ、笑顔で、

「これからも厄が溜まってしまうでしょうから、私回収しに来るわよ」
「え?」
「毎回あれやるからね。私そんな頻繁に来れないからパルスィの厄は溜まるだろうし」
「はぁっ!?」

 パルスィは思わず大きな声を上げてしまう。
 今後二度と会うことが無いだろうと考えていたのに、会うことが確定に変わってしまった。

「それじゃあ、私は帰るわ」
「え、ちょ!」
「またね、パルスィ」
「あっ!」

 そう言って、雛は戻って行った。

「またね……か。本当に、妬ましいわ」

 静かになった空間で、パルスィは小さく呟いた。
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