絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

繋がり

1月1日に書き上げていたssです。あやれいむ。ちょっと甘め。欲望のままに書いただけの作品ですあばば。


 




「あーあー……聞こえますかー。聞こえてたら合図代わりに、文大好きって言ってくださいー」
「くたばれ鴉」
「聞こえてるようで何よりですね」
「今ので良いのね」

 地底での異変を解決した後も、会話手段に使っていた陰陽玉はまだ機能していた。いかに離れていても、相手と会話が出来る。その魅力に文が「是非このまま今後も使わせて欲しい」と紫に頼みこんだことで、今なおこの陰陽玉は存在する。
 しかし相手と話せると言っても、この陰陽玉を持っているのは文と霊夢のみ。そのため文は、手に入れたは良いが、話す相手が霊夢しかいなかった。

「あんたねぇ、今何時だと思ってんのよ」
「私の時計が間違っていなければ、夜の十一時くらいですね」
「人間の良い子は寝てる時間なのよ」
「起きてるってことは、巫女は悪い子なんですね」
「どっかの誰かのせいで起こされた、って場合もあるわよ」
「霊夢さん、こんな時間に寝ないでしょうに。だから話しかけてみたんですから」

 霊夢は別に寝てはいなかったが、布団を敷いてごろごろとしているところだった。服も既に寝巻だ。

「まぁ良いけど……。で? 何の用よ?」
「いやぁ、あと十数分もしないうちに年が変わるじゃないですか」
「そうね」
「最近忙しくて会って無かったじゃないですか、私たち」
「……そうね」

 師走になると、文は山の仕事やらで忙しかった。いろいろと書類が増え、いつもはふらりふらりとしている文でさえ、放り出すにはいかない用事ばかりだったのだ。
 文はここ最近、ずっと家から出れない状態だった。
 そして霊夢から、文へ会いに行くということはまずない。そのせいで、二人はずっと会っていなかった。

「で、今日も会えそうにないので、せめて声だけでも聞かせてあげようかと思いましてね」
「何その私がまるであんたを求めていたみたいな発言」
「そんな照れなくても良いんですよ」
「じゃ、おやすみー」
「すみません、ふざけすぎました。ごめんなさい、切らないでください」

 霊夢はなんとなく、陰陽玉の向こうに土下座している文が見えたような気がした。
 思わず、くすっと笑ってしまう。

「久し振りに話しても、相変わらずねぇあんた」
「まぁ実は私からすれば、久し振りって気はしないんですけどね。たかが一ヶ月くらい」
「あー……妖怪と人間の時間感覚の違いかしらね」
「寂しかったですか?」
「切るわねー」
「ごめんなさいすみません。まったくもう、冗談の通じない人ですねぇ」

 お前がくだらないことを言うからだ。霊夢は心の中で、そんなことを呟く。
 久し振りに会話を交わしているというのに、文は相変わらずだ。たった一ヶ月のことだと文は言うが、霊夢にとっては本当に久し振りだ。変わり無い様子、声に、どこか安心をする。

「しっかし、これも最初は画期的でしたけど、今じゃ声だけってのはやっぱり少し味気ないですねぇ。紫さんの力なら、姿も映すーなんてこと出来そうなのに。なんで声だけなんでしょう。もしかして出来ないんですかね」
「そんなこと言ったら、紫が怒るわよ」
「あはは、出来れば内密に」
「大体、味気ないと思うなら、会いに来れば良いじゃない」
「だから最初に言った通り、今日は会えないんですってば。霊夢さんが寂しがっているのは分かりますけど、こればっかりは仕方ないんですって」
「別に寂しいなんて言ってないでしょ」
「あやややや、私には拗ねているように聞こえましたけど」
「拗ねてないし寂しくも無い。何よ? もしかして、あんたの方が寂しかったんじゃないの?」
「そうですねー私は寂しかったですよ」
「……は?」

 霊夢からすれば軽い冗談のつもりだった。「私がそんなタマだと思いますか?」みたいな、そんな返答を予想していた。
 けれども、返ってきた言葉は肯定の言葉。
 思わず、ぽかんとしてしまう。

「寂しかったので、もう我慢出来ませんでした」
「えっと、文?」
「霊夢さん、今何時か分かります?」
「え? んーっと、今は……あれ? もう日付変わってる」
「はい、新しい一日になったということで――」

 次の瞬間、霊夢の寝室の障子が勢い良く開かれた。
 驚きにびくっと体を震わして、すぐさま音のした方へと振り向くと。

「来ちゃいました」

 文がとても良い笑顔で、立っていた。
 悪戯が成功したような子どもの笑顔。
 霊夢は脳内の処理が追い付かず、未だに固まったまま。

「新年明けましてメリークリスマスですね」
「それ間違ってるから」
「おぉ! 思考停止していたようなのに、ツッコミは出来るんですね」
「……え? というか、なんであんたここに? 今日は会えないってあんた言ってたはずじゃ……」
「はい。ですが霊夢さん、それは一つ間違ってますね。日付が変わった時点で、今日じゃなくてそれは昨日のお話です。つまり、一月一日の今日は会えないとは言ってないですよ?」

 笑顔でそう話す文を見て、霊夢はやっと気付く。騙された、と。
 最初から文は、サプライズをするつもりだったのだ。
 文はゆっくりと布団に入って寝転がったままの霊夢に近付き、その布団の上に腰を下ろした。

「ふぅ、寒かったです。けど、この布団は暖かそうで良いですねぇ」
「おいこら何当たり前のように私の布団に入って来てるのよ」
「おぉ、寒い寒い」
「完全無視ね」

 布団は決して大きいわけではない。完全に、文が無理矢理入って来ている。霊夢は布団の中で、げしげしと文を蹴る。しかし、文は霊夢の背に手を回して、無理矢理くっついて布団の中に入ってくる。
 ばたばたと腕をばたつかせて抵抗を試みるが、妖怪の力に生身で勝てるわけも無く、ぎゅうっと抱き寄せられてしまった。

「おー体が暖かい。そして心も温かい」
「馬鹿じゃないの」
「巫女の言葉はこんなにも冷たいのに、私はとっても満たされます」
「うざい寄るな」
「そんなこと言ってるくせに、しっかりと私の背中に手を回してくれているあたり、流石は霊夢さんですね」
「っ!? 出てけ! 本当出てけ!」

 げしげし。
 じたばた。
 ぎゅうぎゅう。
 むぎゅ~っ。
 ぱたり。
 一通り暴れてみたものの、抵抗はことごとく無駄だと分かった霊夢は、ため息を吐いた。そして、大人しくなる。

「あ~ぽかぽかします」
「頭ぽかぽかして欲しい?」
「いえ、それは遠慮しておきます。きっと痛いので」

 とくんとくん。
 鼓動が聞こえる。こんなにも密着したことは、今までになかった。

「霊夢さん」
「んー?」
「ちょっと目を瞑ってもらえます?」

 なんでよと訊くと、いいから早く、とだけ返ってきた。
 霊夢はため息混じりに、言われた通りにする。
 ――とくんっ。
 次の瞬間、感じていた文の鼓動が、大きく乱れた。
 そしてそれと同時に、唇にふにゅっと柔らかい感触。
 それは本当に一瞬の出来事で、霊夢がその感触に驚き目を開くと、目の前には少し照れくさそうに笑っている文がいた。

「あ、あ、あんた……な、何して?」
「何したと、思います?」

 分かりきった問い。
 かぁっと顔が熱くなるのを、霊夢は感じた。キッと睨んでも、文はにへへーと笑うだけ。頬が少し赤いのは、きっと文も恥ずかしさを感じているからだろう。

「言ったじゃないですか、私は寂しかったですよってね」
「っ……あんたは、本当に、もう」

 言葉を紡ぎたいのに、紡げない。
 上手く言葉を、探せない。

「うーん、今の巫女の姿を写真で是非撮りたいけども、あいにく両手が塞がっているので無理ですね。残念です」

 次第に余裕を取り戻してきている文を見て、少しムッとする霊夢。
 今日は文に翻弄されっぱなしだ。そう思うと、妙な対抗心のようなものが、霊夢の心に生まれ始める。
 なんとかして、文を自分と同じように驚かせたい。そう思った霊夢は、反撃に出ることにした。

「文、あんたも目を瞑りなさい」
「あやややや? まさか霊夢さんも私にちゅーしてくれる――」

 文の冗談めかした言葉は、そこで途切れた。
 霊夢の唇で、それ以上のお喋りを強制的に終了させられたのだ。
 文が霊夢にしたときと同じように、霊夢もすぐ離れた。少し、俯き気味だ。文は未だに固まったまま、動かない。完全に、予想外の出来事だったのだろう。
 それを見た霊夢は、少しだけ気分が良くなる。してやったり、といった表情だ。まだ頬は赤いが。

「……巫女」
「な、何よ?」
「あなた、ばかですか」
「はぁ!? 最初はあんたからしてきたんじゃない!」
「いや、そうですけど……。それでも、うん、あなたは馬鹿です」

 馬鹿だ、ばか、ばーか、と言い続ける。
 そして背中に回していた腕に、より一層力を込めた。少し、痛いくらいに、ぎゅうっと。

「ちょっと、痛い」
「そうですか」
「緩める気は無いのね……」
「生意気な人にはお仕置きです」

 元凶はお前だ。という言葉を、霊夢はなんとなく心に閉まっておいた。
 しばらく、静寂。けれども、不快感は感じない。心地の良い、静寂だった。
 このまま互いに眠ってしまうのではないかと思うくらいに、穏やかで温かい。実際、霊夢は少しうとうととし始めていた。

「あ、霊夢さん。一つ言い忘れてました」
「んー?」
「あけましておめでとうございます。そして今年もよろしくお願いしますね」

 そこで、そういえば年が明けていたんだっけと思い出す。
 笑顔の文に、霊夢も笑顔で一言。

「ん、あけましておめでと。そして今年で視界から消えろ」
「後半酷い!?」

 きっとまた、騒がしい一年を過ごすのだろう。馬鹿やったり、対峙したり、共同戦線を組んだり。根元では、嫌いじゃない。嫌いに、なれないのだ。
 なんだかんだで、長い付き合いになりそうだ。互いに、そんなことを密かに思った。
 



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