姉として2010-11-30 Tue 19:53
25000HITリクのやつー。レミフラー? レミフラじゃあないか、うん、あれ?
とまあ、そんにゃこんにゃで久し振りの紅魔館。 ある日、レミリアは思った。 「フランと私、どっちが胸大きいんだろう」 普通の者からすれば、何をくだらないことを言っているのかと思うだろう。しかし、レミリアにとってこれは、重要なことなのだ。 姉として、妹よりはスタイルが良くありたい。そう思うのは、プライドの高いレミリアにとって当たり前の思考だった。 もちろんレミリアは、自分がスタイルがよろしくないことは分かっている。幼き容姿であることくらい、自覚はある。 だがそれでも、妹より良いスタイルでありたいのだ。妹よりも、少しで良いから大人でありたいと思うものなのだ。 「よし、確認しに行こう」 そうと決まれば、即行動。 目指すはもちろん、フランドールの胸。幼きその胸に向かって、ただただ全速力。 高速で、紅魔館の長い長い廊下を駆け抜ける。途中、何度か妖精メイドにすれ違う。 「あ、レミリア様おはようございます」 「あんまりサボるなよ? 咲夜の負担になるからな」 「は、はいっ!」 軽く挨拶程度のことを交わしつつ、あっという間にフランドールの部屋の前だ。 部屋をノック。どうぞ、と声が返ってくる。 重い扉を開けて、ただ一言。 「フラン! ちょっとおっぱい揉ませて!」 「あはっ、そこを動かないでね、お姉様」 ~GAME OVER~ 「ねぇ、パチェ……一体何がいけなかったのかしら」 「そうね、レミィの思考じゃないかしら」 「えっと、とりあえず紅茶をどうぞ」 ボロボロになりつつも、見事生還を果たしたレミリアは、頼れる友人の元へと相談に来ていた。 パチュリーはレミリアの話をまったく興味無さそうだ。そして、本を捲る手を止めない。 苦笑いを浮かべつつ、小悪魔は二人の紅茶を淹れた。 「パチェ、私は真面目に相談しているんだ。どうすれば、揉めると思う?」 「なんでそこまで真剣なのよ……」 「大切な、愛する妹の為だからだ」 無駄に格好良い台詞だが、明らかに使いどころを間違えていた。 だが、その言葉にパチュリーは大きく目を見開いた。そして、何か諦めたように小さく息を吐く。 「負けたわ、レミィ。あなたの妹様を想う愛に。私の知識で良ければ、貸してあげる」 「ありがとう、パチェ。恩に着る」 「今の何処で負ける要素があったんですか!? 純な愛っていうよりも、少し歪んでる気がするのですけど……」 二人の良く分からない熱い友情に、ただ一人小悪魔のツッコミが虚しく響く。 「まず、レミィは一つ勘違いしている。妹様が怒ったのは、何故か分かる?」 「……分からない」 「いや、そこは分かりましょうよ、レミリア様」 「揉ませて、と言ったのがいけないのよ。もし妹様が、揉めるほどもなかったら、怒るに決まっているじゃない。揉めないものを、揉ませてなんて言われたら、そりゃあ本来怒るか泣くかの二択に決まっているのよ」 「そうか! つまり私は、無いのに揉ませてくれと言ったから、怒られたのね!」 「いやいやいや!? そこじゃないですよね!?」 「つまり、揉ませてではなく、見せてか撫でさせてが正解なのよ」 「さすがパチェ! よし、早速行ってくる!」 「健闘を祈るわ!」 「絶対ダメですって!?」 レミリアとパチュリーは、熱いハイタッチを交わす。あまりに勢いが強いハイタッチに、二人の周辺に衝撃波が生まれるほどだった。そして良い笑顔で、レミリアは図書館を飛び出した。小悪魔の制止を無視して。 静かになった図書館で、パチュリーは一息。 「ふぅ……まったくレミィったら、あんなに急いで」 「あ、あはは。私は絶対にやばいと思うんですけど」 「割と冗談で言ったのに」 「冗談だったんですか!?」 その頃、再びフランドールの部屋。 「フラン、私だ! おっぱいを見せてちょうだい!」 「1秒間に16回襲ってくるレーヴァテイン~♪」 コンテニューする? →はい。 いいえ。 ふひひ。 「パチェ、私は気付いた。フランは照れ屋なのかもしれない」 「レミィ、私は気付いたわ、レミィは少し鈍感なのかもしれない」 「明らかに鈍感のレベル超えてますけどね」 再び、図書館。 「パチェの知識でもダメだったとなると、もうどうすればいいのか分からない」 「諦めればいいんじゃない?」 「ここで諦めたら、吸血鬼としての誇りを失うような気がする」 「レミリア様、吸血鬼としての誇り云々よりも、他にもっと大切な何かを失ってる気がします」 次の策を練っている中―― 「私に考えがあります」 一つの、希望を抱かせる声が響いた。 いつの間にか、咲夜が居た。 しかし、別に突然現れるのはいつものことなので、誰も疑問に感じない。 「咲夜、その考えとやらを聞かせて貰えるかしら?」 パチュリーも興味を持ち、読んでいた本を閉じて、咲夜をジッと見据える。 レミリアはただ静かに、咲夜の言葉を待つ。小悪魔は、ただただため息を吐いている。 「押してダメなら引いてみろとは、よく言ったものです。つまり、妹様が見せてくれないのなら、触らせてくれないのなら、まずはお嬢様自身が妹様にご自身の胸を見せて、そして触らせて差し上げればよろしいのです!」 咲夜の自信満々の意見に、パチュリーはレミリアは、ただ一言。 「それはないわー……」 「咲夜、魔女と言われた私でも、それは引くわ。ただの痴女にしか思えない」 レミリアもパチュリーも、全力で引いていた。 「無駄にまともな意見だー!? まさかのここで突き放し……むしろ咲夜さん、空気読んだ方だと思ったんですけど」 「……いいのよ小悪魔。私が悪かったの」 「咲夜、疲れているのか? なんなら休暇を出すわよ?」 「ええ、人間なんだから無茶しちゃだめよ。レミィのお言葉に甘えたら?」 「……はい、ちょっと眠って来ます」 咲夜はぺこりと一礼した後、ふらりふらりとした足取りで、図書館から去った。 小悪魔にはなんとなくその背中が、哀愁漂って見えた。今度クッキーでも作って労ってあげよう。そんなことを思った。 「さて、咲夜の案は完全に無いとして、次はどうするか」 「小悪魔、あなた何かある?」 「うぇぇっ!? ここで私に振りますか!? うーん、普通に紅魔館身体測定とか言って、みんなで全部測っちゃえば良いと思いますけど……」 小悪魔の発言に、二人は目を丸くする。 その発想は無かった、といったような表情だ。 「ま、まぁ私も今それを言おうと思ってたところよ」 「そ、そうね。私なんかそれに賢者の石24色セットを付けようと思っていたところだわ」 「レミリア様はともかく、パチュリー様は言ってる意味が分かりません」 しかし、割とまともに思えた小悪魔の案だが、その実不安要素がいくつかあった。妖精メイドが多いため、全員やるとなると時間がかかりすぎてしまうことや、突然の身体測定ということで不自然すぎる。 おやつの鳩サブレを齧りながら、三人はどうしようかと考え込む。 悩みに悩み、散々悩んだ結果―― 「フランなら、空気読んでくれると思う」 「まさかの妹様任せですか!?」 全力でフランドール頼りになった。 「そうね、妹様だって生きてきて長いのだから、空気を読んで身体測定を受けてくれるはず」 「なんかもう、危ない未来しか想像できないのですが……」 小悪魔は止めるべきかと悩んだが、元は自分の案なので、今さら止めるわけにもいかなかった。 「それじゃあ、行ってくる」 「健闘を祈るわ。レミィ、私レミィが無事帰ってきたら、言いたいことがあるの。絶対に生きて帰って来てね。約束よ」 「パチュリー様、その発言はむしろ危険な結果を招きそうな気がします」 レミリアはとても良い笑顔で、そう、眩しいくらいに笑顔で、フランドールの元へと向かった。 「さて、どうなると思う、小悪魔?」 「アウトかと」 「うん、まぁそうよね」 その頃、本日三度目のフランドールの部屋。 「フラン、身体測定だ」 「え? 何突然?」 「理由は訊かないで。空気を読んで」 「え? え?」 「さぁ、脱ぎ脱ぎしましょうねー」 フランドールの服に手をかけた瞬間、高速で手刀が飛んできた。レミリアはギリギリでかわしたが、頬を掠めた。つぅっと、血が流れる。 「姉に手をかけるなんて……フラン、教育が必要のようね」 「妹に性的な意味で手をかける姉よりは、数倍マシだと思うんだけど」 「身体測定だって言ってるじゃない。ほら、早く脱ぎなさい」 「嫌だよ。お姉様、目が本気だもん。とても身の危険を感じるよ」 「妹の成長を知りたいのよ。姉として当然の行動だと思わない?」 「一般家庭の姉は、妹の服を脱がそうとしたりしないと思うよ」 「まぁなんていうかさ、ほら、もうごちゃごちゃ言ってないで全裸になってよ」 「わーお、潔いくらいに直球ストレートだね。身体測定ですらないよ」 脱げ脱げ。 やめろーやめろー。 じたばた。 げしげし。痛い痛い蹴るなフラン! 仕返しだ。 ふにふに。何どさくさに紛れて変なところ触ってるのさ! そんな、傍から見たらどういう状況なのかが、よく分からないやりとりをしている二人。 「この大きさは……っ! やはり、私より小さいっ! 僅かにだが、微かにではあるが、私の方がある!」 「何の確認してるのさ!?」 「胸よ! 悪い!?」 「なんでお姉様が怒ってるのよ! 私が怒る場面だよね、これ」 「うん、私は満足した。もう、充分よ」 とても満足した笑みで、フランドールから離れるレミリア。その笑顔は、無駄に優しさに満ち溢れていて、どこか格好良ささえ感じられるものだった。 フランドールからすれば、どうしてくれようかこの姉、といったような心境だ。胸を押さえ、ジッと睨んでいる。 「そんなに警戒しなくて良いわよ。もうしないから」 「とりあえず殴っていい?」 「あぁ、確認出来て良かった。それじゃあ、私は部屋に戻るとするわ」 「露骨に無視しないでよ」 くるりと踵を翻して去ろうとしたレミリアの腕を、フランドールがガシッと掴んだ。 そして、ぐいっと引っ張る。体勢を崩したレミリアは、そのままベッドの上にぽすり。ふわっとしたベッドの心地良さが、レミリアの背中に伝わった。 目をぱちくりさせて、驚いた様子のレミリア。 「何? 仕返しに私の体を弄ぶ気?」 「いやいやいや、引っ張ったらたまたまこうなっちゃっただけで、別にそんな気は一切ないから」 「そう、やっぱりフランは弄ばれたい方なのね」 「そういう話はしてないから!」 「さぁ、今度はフランがベッドに身を預けなさい。一緒にベッドで最もポピュラーな気持ち良い汗を流すスポーツをしましょう。私のスカーレットテクニックで、楽しませてあげるわ」 「何する気さ!?」 「え? ベッドでするスポーツって言ったら、普通に枕投げしかないじゃない」 「あ、あーあーそうだよね、うん。分かってたよ、もちろん」 わざとなのか素なのか、きょとんとしているレミリアを見て、もはや殴る気も失せてしまった。 はぁ、と大きなため息一つ。 「お姉様と一緒だと、なんか疲れる」 「けど、暇はしないでしょう?」 「……早く部屋戻りなよ。もう用はないんでしょ?」 ふいっと顔を逸らすフランドールを見て、笑みを零す。 それが嫌だったのか、フランドールは頬を膨らませて枕で叩く。 「あーもう、出てってよー!」 「はいはい、じゃあスカーレットテクニックはまた今度ね」 「別にいいよ、やんなくて!」 部屋から出ようとした瞬間、顔に枕がぼすっと直撃。 それでもレミリアは、あははと笑いながら上機嫌に戻って行った。一人になった部屋で、フランドールはまた大きく、ため息を吐いた。 「ただいまーパチェ、小悪魔」 「なっ!?」 「い、生きていたんですね……」 ほぼ無傷で、図書館に上機嫌で戻った来たレミリアを見た二人は、それはそれはとても驚いたそうな。 |
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2010-11-30 Tue 20:57 | | [ 編集 ]
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