絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

天狗三人のお話

11月19日は良い天狗の日でした!
といわけで、小ネタでささっと書き上げたものでした。霊夢は出ないですが、あやれいむ。
 

「そういえばさー文」
「んー? 何よ、はたて」

 文とはたて、互いに印刷所にて新聞作成中。天狗の印刷所はいくつかあるが、ここはあまり人が来ない。ここはにとりが作った場所で、交友関係の少ないにとりは、ほとんど公言していない。
 時期によっては混むことが予想される印刷所、文とはたてにとってはこの場所は穴場だった。ただ唯一の欠点は、滝の近くにあるため、印刷した新聞を下手したら濡らしてしまうこと。
 しかし、そんな失敗を文やはたてがするわけもない。

「博麗の巫女にはもう告ったの?」
「ごふぁ!?」

 完成した新聞を眺めつつコーヒーを飲んでいた文は、予想外の問いかけに全力で噴いた。滝で濡らす云々の前に、自分の噴き出したコーヒーで新聞は一部悲惨なことになった。

「な、なななな何を――」
「あれ? 文ってあの巫女に執着してるように見えたから、てっきり好きなのかなーって思ったけど、違うの?」

 はたてはきょとんとした表情で、首を傾げた。その顔には、からかってるとかそういう嫌なものはなく、ただ単に純粋に疑問に思っていることだけが含まれていた。
 からかっているのなら、文は喧嘩腰に軽くあしらえる。だが、こう純粋に訊かれると、思わず言葉に詰まる。
 目を逸らして、頬を掻く。

「……なんで、そんなこと訊くのよ?」
「んー? だってさ、あの巫女って確か人気者でしょ? 文に勝算あるのかなーって」
「ぐっ……そ、それ以前に、私が霊夢を好きかどうかなんて分からないじゃない」
「あーそれもそうね。じゃあさ、私が貰っちゃっても良い?」
「……へ?」

 無邪気な表情で、そんなことを言う。
 文は思考停止。今日は予想外すぎるはたての言動に、いつもの冷静さを欠けていた。そして、次の瞬間には――

「だ、だめっ!」

 そう、叫んでいた。
 何かを考えて発言したわけじゃあない。ただ、口が勝手に動いたのだ。

「なんだ、やっぱり好きなんじゃん」
「う、ぐ……」

 今度はにへらーとした、さっきまでとは違う意地悪い笑み。
 その顔を見て、文はもしかして嵌められたのではないかと思った。が、もう言ってしまったのだから、時既に遅し。

「へぇ、文さんはあの博麗の巫女が好きなんですね」
「いや、だから別にまだ好きとは一言も――って椛!?」

 声がした方向を向くと、そこには椛が突っ立っていた。慌てている文とは対照的に、非常に落ち着いた態度で、別に興味無いといったような雰囲気。
 椛は印刷所をきょろきょろと見渡し、ふぅとため息を吐いた。

「どったの椛?」
「はたてさん、河城知りませんか? 一緒に出かける予定だったんですが、いつまで経っても来ないので居そうなところを捜しに来たんですが」
「うーん、見てないけど。どれくらい待ってたのよ?」
「えっと……今がお昼過ぎなので、多分二時間くらいですね」
「二時間も!? はぁ~忠犬ね」
「狼です」
「ちょっと! 二人とも!」

 世間話をするかのように、平然と会話をしている二人に、文が声を荒げた。
 はたても椛も、きょとんとした表情で振り向く。

「どうしたんですか?」
「どうしたのよ、文?」
「どうしたじゃなーい! いい? 二人にはしっかり言っておくけど、私は別に霊夢のことは――」
「椛、にとりの家には行った? 多分また徹夜作業で寝ちゃってるんじゃないかな」
「あー……河城ならありえますね」
「聞けよ!? あんたら聞きなさいよ!」

 肩を上下させて、呼吸荒く必死な文。ある意味、珍しい光景だ。はたては写真でも撮ろうかと思ったが、撮った瞬間潰されそうなのでやめておいた。

「文さん、私普段から思ってたんですが、文さんはもう少し落ち着きというものをですね……」
「椛の説教なんて聞きたくないのよ! いい? 私が言いたいのは――」
「あ、そうだ椛。この前美味しい屋台見つけたからさ、一緒に行かない? にとりも誘ってさ。もちろん、良いお酒もあるわよ」
「あー良いですね。えっと、次の休暇は来週の火曜日なんですが」
「おっけおっけ、ちゃんと空けとくわ」
「分かりました。では、河城の方には私から伝えておきますね」
「あ、それ私も行きたいわ。最近飲んでなくてね……って違う!? 何華麗にスルーしてくれてるのよ!」

 無視するな、という文に対して、二人は欠伸。さすがに文も、かちんときた。

「え? 何、喧嘩売ってるの?」
「いやいや、そういう気はないよ。ただ、文があまりにも必死だからさぁ。なんていうか、まるで初恋のような初々しさで、正直うわー文らしくないって思って、見ないことにしてた」
「右に同じです。文さんにしてはピュアな反応過ぎて、現実から目を逸らしてました」
「あんたらね……」

 肩を震わせつつ、笑顔で握り拳を作る文。

「まぁまぁ文、そんなパリポリしないで」
「カリカリしてるのよ! パリポリだとなんか食べてるみたいじゃない!」
「大丈夫ですよ、文さん。私たち、誰にもこのこと言いませんから」
「ちょっと椛! その言い方、まるで私が巫女を好き確定みたいな言い方じゃない!」
「文が好きじゃないなら、やっぱり私が貰っちゃうけど?」
「あ、じゃあ私も参戦しますよ」
「~っ!? だ、だめだってばっ!」

 明らかに罠だと分かっているのに、もう冷静さを欠いた文は思考よりも先に口が動く。
 ニヤニヤとした笑顔の二人に、文はかぁっと顔が熱くなる。

「なんでダメなのよ?」
「そうですよ、文さん。別に好きじゃないなら良いじゃないですか」
「っ……ホント、もう勘弁して」

 へたぁっとその場に座り込み、赤くなった顔を隠すように俯いてしまった。

「まーからかうのはこれくらいにするわ。けど、応援してるわよ」
「ライバルは多いと思いますが、頑張ってください」
「……なんなのよ、今日は、もうっ」
「いやーだって文さ、いかにもバレてないみたいに装ってたけど、第三者から見ればバレバレだったよ? 多分気付いてないの、あの巫女くらいよ。あの巫女、勘は良いくせに、自分に対する好意には鈍感っぽいし」
「そうですね。なんか見ていてじれったかったので、つい」
「うぅ……そ、そんな態度に出してるつもりはなかったんだけど。というか、実は私自身、これがどういう感情なのか把握してないのよねぇ」
「いや、恋でしょ」
「恋ですね」

 二人に即答され、さらに俯く。顔は見えないが、耳が真っ赤だ。
 普段はあれだけ人をちゃかしたり、何かに首を突っ込むのに、こういう色恋沙汰――特に自分に関することには弱いようだ。

「最初はさ、ただ目立ってたから、ネタにしやすいかなって思ってたのよ。異変のときには対峙したり、パートナーを組んだこともあった。特に何もない時に行けば、不機嫌そうな顔しつつお茶をくれる。そんな日常が、いつの間にか楽しいなーって思ってて……」
「うん、なんていうかさ、私に恋とかそういうのはよく分からないけど、頑張れ文!」
「ですね。ここまでピュアな文さん、始めて見ました。なんでしょう、応援したくなるっていうか……」
「気持ちはありがたいけど、今凄く恥ずかしいから、出来ればこの場から去ってくれると嬉しいわ」
「それは嫌」
「同じくです」
「なんでよ!?」

 今の流れなら、空気を読んで去るところだろう。
 文は思わず顔を上げて、ツッコミを入れてしまった。

「だって、ねぇ。こんな珍しい文、今後一生見れないかもしれないし」
「もうしばらくは見ていたいですね」
「そうよねー。なんか今の文なら、博麗霊夢って単語聞いただけで、顔真っ赤になりそうだし。ぶっちゃけ、面白――じゃなかった、心配でね」
「今本心さらって出してたわよね!?」
「そんな文さん、はたてさんが面白がってるわけないじゃないですか。はたてさんは純粋に文さんを面白がって――じゃなくて、心から面白がって――でもなかった、ただただ心の奥から心配してるんですよ」
「嘘だ!? 絶対嘘だ! あんたたち、私の反応見て遊んでるでしょう!?」
「………………そんなわけないでしょ!」
「今の長い間が、私をとてつもなく不安にさせるんだけど!?」
「文さん、少し静かにしてくださいよ。ここは落ち着いて、話し合いましょう。えっと、何を話してましたっけね?」
「文の性癖についてじゃなかったっけ?」
「あぁそうでした」
「そんな話、一言もしてないでしょ!?」

 わざとらしいボケに一々ツッコミを入れる文は、ある意味優しい。
 いつの間にか立ち上がってツッコミをしていた文に、はたても椛も拍手。

「ったく、あんたたちは人で遊んで……」
「あははーけど、応援してるのは本当よ? 人の恋を手伝ったりは出来ないから、無責任に頑張れって言葉しか言えないけど」
「私も色恋沙汰には疎いので、同じく頑張ってくださいとしか言えませんが、応援してます」

 さっきまでとは違って、二人の目はからかっていなかった。
 純粋な、心からの言葉。
 これはこれで、恥ずかしいというか、照れくさいものがある。
 だが、悪い気はしない。
 文は笑顔で――

「ん、ありがと」

 とだけ言った。

「さ、さぁこの話はもう終わり! 新聞完成まであと少しよ!」
「あ、私も印刷した一部、確認しなきゃ」
「あぁ、私も河城のところへ行ってきます。それでは」
「んーじゃあね」
「来週の屋台行く約束、忘れないでねー」
「分かってます。河城にも伝えておきます」

 椛は軽く一礼をして、その場を去った。
 はたては出来上がった新聞を手に取り、文はコーヒーまみれになった新聞をくしゃくしゃに丸めた。
 そしてその新聞を放り投げると、見事部屋の隅に置いてあるゴミ箱に入った。
 お見事と言うはたてに、はいはいと投げやりに返事をした。
 
小ネタ・未投稿SS | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<アンケート的な | ホーム | 好意>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |