絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

ポッキーゲーム

2010年11月11日にピクシブへ投稿したあやれいむでポッキーゲーム!
実はこれ、書くっていう約束を前日にしまして、超テンパりました。11日、帰ってきたのが夜の10時を過ぎたので、さらに焦りました。
久し振りに、無意識執筆でやることに。(スピードが上がるけど、短くなる上にたまにミスする)
結果、50分で書き上げた作品です。
どうぞ、少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
 


「ポッキーの日?」

 文はきょとんとした表情で、首を傾げた。左手には文花帖、右手にはペンを持っている。いつもの取材体勢だ。
 そして、目の前には霊夢。博麗神社の縁側、熱いお茶、ここまでは特にいつもと変わりはない。よく見る光景だ。
 しかし、一つだけ違うところがある。それは霊夢のお茶菓子が、煎餅や饅頭といったものでなく、文にとって見たことも無いお菓子だという点だ。細長い棒のようなお菓子で、持つところを除いてチョコレートがコーティングされている。カリカリポリポリと音を立てながら、霊夢はそれを食べている。

「そう。紫が言ってたんだけどね、外の世界じゃポッキーの日って言うらしいのよ」
「そのお菓子が、ポッキーですか?」
「そうよ。これも紫がくれたんだけどね。割と美味しいの。食べる?」
「良いんですか?」
「結構な量貰ったからね。十数箱はあるもの。むしろ、少し消化するの手伝いなさい」

 霊夢にそう言われ、隣りに腰を下ろす。
 外のお菓子ということあって、文は箱をまじまじと見つめている。そして、少し警戒しているようだ。霊夢は平然と食べているが、もしかしたら自分のような妖怪には毒なものかもしれない。そんなことを思いつつ、袋を開けて取り出したポッキーをつついている。

「あのね、お菓子は食べるものであって、つついて遊ぶものじゃないわよ」
「知ってますよ。警戒してるだけです」
「何よ、私が毒を盛ったとでも?」
「あぁ、それはありそうな」
「なら食べなくて良いわよ。他のやつにあげるから。さっさと帰れば?」
「あぁん、嘘ですごめんなさいっ」

 文からすれば、ここで興味深い未知の食べ物を食べれないということになるのは痛い。食べられなかったら、ネタにすら出来ない。へらへらと謝る。

「これって、妖怪には毒ってことありませんよね?」
「そんなわけないでしょ。仮に毒だったとしても、あんたその程度で死ぬようなタイプじゃないでしょうに」
「あ、あはは。確かにそうかもしれませんね。では、いただきます」

 ごくり、と唾を飲む。そして、恐る恐る一口。
 口に含んだ瞬間、目を大きく見開いた。

「……美味しい」
「そりゃあ良かったわね」
「む、冷めてますね、霊夢さん」
「私はもう結構食べたからね」

 文はふにゃっとした笑顔で、ポッキーを食べる。どうやら気に入ったらしい。
 霊夢も新しい箱に手を伸ばす。

「ふむ、これは実に良いお菓子ですね」
「私は飽きてきたけど」
「この食べやすさ、折れたときの音、そして何よりこの、ほど良い甘さ! いやー良いです。私、気に入っちゃいました」

 文は上機嫌のまま食べる手を止めず、あっという間に一箱食べてしまった。
 そして瞳をキラキラさせて、じーっと霊夢を見つめている。
 じーっ。視線を浴びる。
 ちらっ。目が合う。キラキラ。
 ぷいっ。霊夢は思わず、顔を背ける。
 すすっ。立ち上がり、霊夢が顔を背けた方へと回り込んだ。
 ぷいっ。再び顔を背ける。
 すすっ。再び回り込む。
 しばし、無言。

「……」
「……」
「……まだ食べる?」
「っ!? はいっ!」

 満面の笑みで、頷いた。お菓子一つでこんなに良い笑顔を見せる文を、なんとなく意外に思う霊夢だった。

「あんたもなんだかんだで女の子ってことかしらね」
「失礼な。私は常に可愛らしい女の子です」
「歳考えて発言しなさい」
「あやややや、これは手厳しい」

 新しく箱を開けて、笑顔な文を見ると、妖怪だということを忘れてしまいそうに思えた。ただの見た目相応の女の子にしか、見えない。
 けど、中身は妖怪だ。しかも、かなり強い。

「霊夢さんは食べないのですか?」
「私は飽きてきたって言ったでしょう。ちょっと休憩」
「ふむ、そうですか――って、あやややや? この紙はなんです?」

 ふと霊夢の背後に置かれている箱の山を見ると、何やら一枚の紙が置いてあった。ただの薄っぺらい、どこにでもあるような紙だ。

「ん? あーそれも紫が置いていったのよ。なんか、ポッキーを使った外の遊びを書いておいたとか。そういえば、まだ読んでなかったわね」
「お菓子を使った遊び? 読んでも良いですか?」
「ん、良いわよ。というか、私も気になるから読むわ」

 二人で、その紙に書かれたゲームとやらを見る。



 『嬉し恥ずかしポッキーゲーム!』

 1.互いに同じ一本のポッキーを咥える。
 2.そして同時に食べ進める。このとき、折らないように気をつける。
 3.互いに顔が近付く。キャーキャー! 先に恥ずかしくなって、折るor口を離した方が負け。ウフフ。



「えーと……」
「何これ?」
「まぁとりあえず」
「ん?」
「やってみましょうか!」
「やるの!?」
「だって面白そうじゃないですか! やりましょうよ! 外のゲーム、ネタになるじゃないですか!」
「い、嫌よ。なんで私がそんな――」
「あっれぇ~? もしかして霊夢さん、負けるのが怖いんですか?」

 わざとらしい挑発。
 口元をにやぁっといやらしく歪めて、わざと相手の勘に触るような言い方をする。まさに素晴らしいまでに、そして無駄に完成された挑発だった。
 もちろん霊夢だって馬鹿じゃあない。
 これが挑発だってことくらい、理解している。
 だが、それでも腹が経つのは事実だ。博麗の巫女が妖怪の挑発に逃げて良いのか? いや、よろしくない。そんなことが、霊夢の頭に思い浮かんだ。正直、博麗の巫女とかそんなもの関係なしに、ただ霊夢自身がカチンときただけだったりするのだが。

「よし、負けたら賽銭入れて帰りなさいよね」
「良いですとも。まぁ私が敗れることなんて、万に一つもあり得ないですけど。万に一つもあり得ないですけど」
「二回言うのがまた腹立つわね。よし、やるわよ」

 互いに正座で向き合って、ポッキーゲームの準備だ。
 チョコの方を霊夢が咥え、文がチョコがついていない方を咥える。互いに瞳には、絶対に勝ってやるという強い意志が込められている。
 喋れないので、文が指を三本立てる。次に、一秒毎に一本折り曲げる。スタート三秒前の合図だ。
 そして、とうとう全ての指が折り曲げられた瞬間、ゲームが開始した。

「……」
「……」

 互いに無言で、カリカリポリポリ。
 少しずつ、近づいてゆく互いの顔。だが、まだ開始して数秒。この程度は二人とも想定の範囲内だ。
 そう、この程度までは想定の範囲内だった。
 当たり前だが時間が経つに連れ、ポッキーは短くなる。
 そして熱くなっていた二人も、時間の経過とともに次第に冷静になった。今さらながらに、気付いたのだ。

『これ、相当恥ずかしいゲームなんじゃないか』

 と。
 しかし、互いに今さらやめるわけにもいかない。
 わざとゆっくり消費し、時間をただただ稼ぐ。だが、これは先延ばしにしているだけにすぎない。いずれは、終わりが来る。
 文も霊夢も、恥ずかしくなってきたせいか、顔が少しずつ熱くなる。このゲームの恥ずかしいところは、結末だけでなく、過程も充分の羞恥心を煽る物がある。咥えてるせいで、視線を外すことが出来ないのだ。
 相手の瞳に、自分の姿が映っているという錯覚にまで陥る。かぁっと熱くなる体。カリカリポリポリという音は、もう止まってしまっていた。互いに、中々次の一歩を踏み出せないでいるのだ。
 喋れないため、やめようとも言えない。口を離せば、その時点で負けだ。
 この膠着状態を先に崩したのは、霊夢だった。ほんの少しだけだが、食べ進めた。
 それを見て、文も負けじと再び動き出す。互いに少なからず負けず嫌いなところがあるせいか、再び動きだしたら止まらない。
 カリカリポリポリ。
 鼻と鼻が触れ合ってしまうのではないかというくらいまで近付く。
 恥ずかしさも、さっきまでの比ではない。
 文は羞恥心に蝕まれながらも、どこか少し冷静に霊夢の顔をジッと見つめていた。整った顔立ち。こうして黙っていると、可愛らしいのに。などと、普段なら思わないであろうことが頭をよぎる。
 霊夢もまた、文を見ていた。長い睫毛に、大きな瞳。可愛いというよりは、どこか年上の魅力を感じさせる美しさ。おちゃらけてないで、黙っていると格好良いのに。などと、霊夢も文と同じく、普段なら思わないであろうことを考えていた。
 ぼうっとした、けれどもどこか冷静に相手を見つめながら、距離が縮まる。
 あと数センチもない。
 自然と、顔を少しだけずらす。鼻がぶつからないようにするためだ。
 このままいけば、唇が重なり合う。
 分かっていても、二人は止まらない。それが意地なのか、それとも別の何かが二人を動かしているのか。今の二人では、分からなかった。
 そしてとうとう、その柔らかそうな唇に振れ合う瞬間――

「霊夢―! 紫からポッキーとかいうお菓子もらった――って、あれ?」

 魔理沙がポッキーの箱を一つ持って、登場。
 固まるその場の空気。
 文も霊夢も、動けない。
 魔理沙は状況を整理する。そして、導き出した答えは、ただ一つ。

「すまん、邪魔したな。ごめんな、私ってこういう空気は読めなくて……」
「待った魔理沙!」
「ま、待って下さい魔理沙さん!」

 二人が誤解だと言う前に、魔理沙は笑顔で「おめでとう」とだけ言って去って行った。その笑顔は、とても良い笑顔だった。明らかに、これはみんなに知らせなきゃ、といったような笑顔だった。
 妙な汗が流れる。

「えっと……」
「う、ぁ」

 あはは、と無理矢理笑みを浮かべて頭を掻く文に対し、霊夢はかぁっと赤くなった顔を見られないよう、顔を背けた。
 二人の間には、ほんの少しだけ残ったポッキー。魔理沙を呼びとめる時に、同時に落としたものだ。

「こ、今回は引き分けって事で」
「い、異議なしね」

 今回はってことは、次回があるのだろうか。
 霊夢はそっぽを向いたまま、そんなことを思った。
 ポッキーゲーム、それは恐ろしいゲームである。


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