絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

妖怪の山襲撃騒動?

文ちゃん中心のどたばた。

 

「くは~! んー……なんか、ただ酒飲むだけってのも飽きてきたねぇ」
「酒は上手いんだがなぁ。何かが足りないな」

 地底とのとある場所で、萃香と勇儀はお酒を飲み交わしていた。
 少し薄暗く、じめっとしたこの場所は、二人の肌に合わない場所だった。それでも、久し振りに二人で飲むお酒ということで、最初はそれなりに楽しんでいた。
 だが、それも長く続かず。
 数時間経った今、なんとなく飲むだけということに飽きてきたのだ。

「せめて景色の良い場所で飲んだりすれば、また違うのかもしれないけどね」
「じゃあどっか行くかい? 今の地上のことは、正直よく分からないが、萃香が良い場所を案内してくれるなら行くけど」
「うーん……神社だと霊夢に怒られそうだし、魔理沙の家は足の踏み場が無いし、紅魔館近くの湖は妖精たちが鬱陶しいからなぁ」
「何かないかねぇ」

 二人は酔った頭で考える。
 景色が良くて、お酒を飲むのに最適な場所は何処か。

「あ、妖怪の山なんてどうだろう? 久し振りにさ」
「お、良いねぇ。そこなら私も知ってるし、久し振りに河童たちにも会ってみたいものだ。随分と変わったと聞いたが、どうなっているのやら」
「今は天狗たちが社会を築いているけど、まぁ私たちのことは知ってるだろうし、行っても大丈夫だろう」
「そうだな。そうと決まれば、早速行こうか!」
「よし! 行こう!」

 そう言って二人は、実に楽しそうな笑みを浮かべて妖怪の山へと向かった。





 ~1時間後~





「大天狗様! モニターに異変が!」
「映し出せ!」
「パターン角! 鬼です!」
「なんだと……? 緊急会議だ!」

 河童の作った小型監視カメラに映った映像は、まさに萃香と勇儀が笑顔で山に入ろうとしているところだった。
 この事実に、妖怪の山は大騒ぎ。それもそのはずだ。萃香一人でさえ、いつも訪れるたびに妖怪の山全体に緊張が走るというのに、今回はそれに加えて勇儀までいる。四天王の鬼の内、二人が山へやってくるということに、とにかく慌てた。
 河童たちには避難勧告が出され、戦闘員ではない天狗たちも避難と河童たちの安全誘導。
 そんな中、天魔・大天狗・射命丸文・犬走椛の四名だけが、一室で会議を行っていた。

「哨戒天狗代表、犬走よ。お前はこの事態をどう判断する?」
「やはり、山を崩しにかかってきたと考えるのが妥当かと」
「ふむ、では大天狗、お主はどう思う?」
「犬走と同意見です。あの笑顔、今から我らを倒すのが楽しみで仕方が無いという表情にしか見えません」
「そうか……どうするべきか」
「あのー、なんで私はここにいるんでしょうか?」

 三人が真剣に話し合う中、文だけは乗り気ではなかった。というよりも、文自身はさっさと逃げたいという気持ちがあった。
 戦闘や時には情報収集も担当する哨戒天狗が呼ばれるのは分かる。大天狗が呼ばれるのだって、理由を聞かなくても分かる。だが、どうして新聞記者で非戦闘員であるはずの自分がここにいるのかが、文には分からなかった。

「お前は非戦闘員とはいえ、実力は幻想郷の中でもトップクラス。普段は力を抑えて本気を見せないことくらい、分かっている。それに、あの鬼二人とお前はつい最近も面識があっただろう」
「いやーそうですけど。地底の時は、直接会ってたわけじゃあないですし」
「大天狗様、天魔様、一つ提案が」
「どうした犬走?」
「この一件、全て文様にお任せしてはどうでしょうか?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 椛の言葉に、思わず文は立ち上がった。
 それを無視して、椛は続ける。

「戦闘能力、交渉力、そしてつい最近にも面識がある。この三点を踏まえると、むしろ文様以外の私たちが刺激することは、かなり危険かと。そこで、あえて文様だけにこの件を任してみるのは如何でしょう?」
「ふむ、なるほど。確かにそれは良い案だ」
「ちょ、ちょっと待って下さい大天狗様! みんな私を過大評価しすぎです! ほら、私ってか弱い新聞記者であって――」
「では天魔様、この作戦でどうでしょうか?」
「聞けよ大天狗! おいこら!」

 露骨なスルーっぷりに、思わず敬語が抜けてしまったが、気にしない。文からすれば、鬼二人と戦うなんて絶対に嫌なのだ。なんとしても、ここは止めたいと思う気持ちでいっぱいだった。
 ふと文が横を見ると、椛は欠伸をしていた。それを見て「こいつ、私に全て押しつけただけかっ!」と、なんとなく感じとった文。
 天魔は黙って俯いている。
 天魔の命令となっては、文はもう従うしかなくなってしまう。緊張した空気の中、天魔以外の全員が、言葉を待つ。
 どれくらい、経っただろうか。恐らく、そんなに長い時間は経過していないだろうが、文にとってはとてつもなく長い時間に感じられた。
 ついに、天魔が口を開く。

「おぉ、すまん。寝てた」
「おいこら天魔ぁ!」
「文様、煩いです」
「射命丸、静かにしろ」

 てへっと可愛く舌を出す天魔を見て、文は思わず敬語が抜けるどころか胸倉を掴みそうになる。が、椛と大天狗に注意され、ぎりぎり堪えた。

「天魔様、決断を」
「よし、採用」
「天魔様寝てたんですよね!? 何を採用したか分かってます!?」
「え? うん、多分分かっとるよ」
「じゃあなんのことだか言ってみて下さい!」
「おにぎりの具――」
「天魔様、文様出撃の件ですよね」
「そうそう射命丸文、お主を信頼しての出撃命令だ」
「明らかに椛から答え貰ったようなものですよね!? 最初あんな真面目な感じだったのに、なんでいきなりこんなやる気なくなってるんですか!」
「文様、何はともあれ天魔様が決定したことです。もうこれは覆りません」
「そうだぞ、射命丸。ま、なんだ、その……頑張れ!」

 とっても良い笑顔の椛と、無駄に白い歯を見せて親指をグッと立てる大天狗、そして寝起きに歯を磨いている天魔。
 文は、「無事に帰ってこれたら、こいつら全員あることないこと記事にしてやろう」とか思った。

「ちくしょう行ってきますよこのやろー!」

 幻想郷最速の向かう先は、鬼二人の元だ。
 手持ちのスペルカードを確認。三枚だった。これで勝てるのかと問われると、ハッキリ言って勝算は無いだろう。しかし、文は頭をフル回転させて、解決策を探す。
 物凄いスピードで翔けているのに、木など障害物にぶつかることは一切ない。

「もうこのままとんずらするのが一番の解決策な気がしてきた。って、あれ?」

 ふと、目の前に一人の女性がいた。天狗であることは衣装から分かったが、文は見たことない人物だった。
 もう既に非戦闘員は避難した筈なのに、何故ここに居るのか。疑問に思い、足を止める。

「あなた、どうしたの? ここに居ると危険よ?」
「あの、射命丸様……私、ずっとずっと射命丸様のファンでした。射命丸様は、私にとって憧れでした」
「え? 急に何?」
「先程、鬼二人への対応を射命丸様一人で行うという号外が」
「あー相変わらず洒落にならないくらい、そういうことは早いわね。我が同胞ながら、呆れるわ」
「それで、やっぱり射命丸様は格好良いな、勇気ある人だなって思って。私、今度手術があるんです」
「え?」
「けど、怖くて怖くて、逃げようかと思ってました。でも、射命丸様が鬼二人に勇敢に立ち向かうと言うのに、私はこんなことで怖がっていてはいけないと思いました。だから、もし射命丸様が見事鬼を退けたら、私手術する勇気が出ると思うんです」
「え、や、ちょ」

 女性の目は、文を信頼しきった目だ。
 今さっきまで、文は逃げることを考えていたが、逃げるに逃げられなくなってしまった。

「それでは、信じてます! 頑張ってください! 決して、無理はなさらぬよう」
「あ、うん、えーと……ありがとう?」

 それだけを伝えて、女性は去って行った。
 文はしばらく、その場に立ったまま動けなかった。

「……なんか逃げられなくなったー!? あーもうっ、なるようになるしかっ! 時間もないし!」

 とりあえず、向かうことにした。





◇◇◇





「いやー懐かしいな」
「勇儀ーどこらへんで飲む?」
「やっぱ頂上じゃないか?」
「頂上付近には神がいたなー確か。一緒に飲み明かすのも良いかもねー」
「そうだなぁ」
「そこのお二人、ストップ!」

 二人の前に、突然文が現れた。

「お、文じゃん」
「その声は、地底に巫女が来たときに聞いた気がする。あの天狗か」
「そんなことはどうでもいいのです。お二人、今日は何の御用で?」
「んー? 私たち二人がすることなんて、分かるだろう?」

 萃香が口元を歪めて、文に笑いかけた。
 萃香からすれば、お酒を飲む以外ないだろうという意味だった。しかし、切羽詰まった文からすればその笑みと言葉は、山を今こそ崩しに来たのさ、と言っているようにしか思えなかった。

「そうとなれば、先手必勝! 『幻想風靡』です!」
「へ? わわっ!?」
「おおっ、なんだなんだ?」

 一瞬にして、萃香と勇儀の視界から消える。
 目にも止まらない速さを超えた、目にも映らない速さ。この速度からばらまかれる細かい弾幕や文の体当たりは、鬼といえどもまともにくらってしまったならただでは済まないだろう。

「なんだろう? なんでこんな、文はやる気なんだ?」
「なー萃香、この天狗って、元から好戦的なのか?」
「いんや、むしろ無駄な争いは避けるようなタイプだったと思うよ。ま、いいや。勇儀はちょっと離れてて。私がここはなんとかするからさ」

 勇儀が萃香から離れると、萃香は己の体を霧状にする。
 萃香にとって文の幻想風靡は、何度か見たことあるスペルだった。そして、唯一の弱点も分かっている。それは、このスピードで動くのには時間制限があること。十数秒、耐えれば良い。
 弾幕も突進も、霧状で全てやり過ごす萃香。
 そして、十数秒後、そこには肩で息をした状態の文が!

「ひ、卑怯……です、よ。はぁ、はぁ……」
「いやーだって、いきなり攻撃ふっかけてきたし。理由聞かないとね」
「あ、終わったの萃香?」
「おーもういいよ。勇儀もおいで」

 スペルカードはまだ残っているが、全て『幻想風靡』より威力のないものだった。
 もう奥の手しか残って無い。

「なんでいきなり襲って――」
「お帰りくださいぃぃぃぃぃぃぃ!」
「……え?」
「……は?」

 全力で土下座。
 予想外すぎる行動に、萃香も勇儀もぽかーんとしている。

「いや、もう本当勘弁して下さい。ここは私に免じて、お帰り下さい。今度良いお酒もあげますし、宴会も開きますから。どうか、今日のところはお帰り下さいお願いします」
「……何か、わけ有りかい?」

 普段とは違った様子に、萃香は真剣な顔で訊く。
 文からすれば、「わけ有りっていうか、あんたたち二人が原因だよ。さっさと帰ってくれ」という気持ちがあったが、もちろんそこは我慢する。

「はい」

 ただ、そう返事した。
 それを聞いた萃香は、目を瞑り、しばらく考え込む。

「どうする、萃香?」
「うん、今日は帰ろうか。文がここまでするんだ。何かわけがあるんだろう」
「わけは、訊かないのですか?」
「それを訊くのは野暮だろう。ね、勇儀」
「あぁ、そうだね」

 二カッと笑顔でそう言う二人を見て、文は天魔とかよりもこっちの方が良い人なんじゃないだろうかとか思った。

「ん、じゃあね。今度お酒奢ってよ?」
「じゃあな、天狗よ。いつか飲みに来な。歓迎するよ」
「あ、ありがとうございますっ!」

 帰って行く二人に、大きく頭を下げる文。
 こうして、妖怪の山襲撃騒動(勘違い)は幕を閉じた。





◇◇◇





「えっと、哨戒天狗の犬走椛ノーパン疑惑、大天狗様実は両刀疑惑、天魔様スキマ妖怪の八雲紫氏や月の頭脳八意永琳氏に対して年増と発言……と。ふぅ、こんなところで嫌がらせ――じゃなくて、新しい新聞完成ね」

 あの騒動から一週間、文は自宅で新聞を作成していた。
 すると、戸をノックする音。
 誰だろうかと扉を開くと、そこにはあの時の女性が居た。

「あ、あなたはあの時の……」
「はい、射命丸様が見事鬼二人を退けたと聞いて、勇気をもらえました。ありがとうございます。やっぱり、射命丸様は憧れです」

 純粋な褒め言葉に、少しくすぐったさを感じる。

「そういえば、無事に手術は済んだのね。良かったわね」
「はい、見て下さい。ほら、立派な二重瞼になりました!」
「……プチ整形だったのっ!?」

 今日も妖怪の山は、平和である。



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