絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

眼鏡

あやれいむ絵茶にて無茶振り?されたネタ!
眼鏡+あやれいむ=無限の可能性。


 
 
「霊夢さんって、お洒落とか興味無いんですかー?」
「は? 何よ突然?」

 文の言葉に、霊夢は首を傾げる。
 博麗の巫女とはいえ、年頃の女の子。少しは服やアクセサリー、髪型や化粧などに興味を持ってもおかしくはない。しかし、文は霊夢が化粧しているところや、アクセサリーをつけているところ、巫女服以外の私服を見たことが無かった。

「別に。お金の無駄だし、そもそも何をどうすればいいか分からないし」

 霊夢は特に興味無さそうに、卓袱台の上にある煎餅を手に取り齧る。定番のしょうゆ味だ。美味しいのか、頬を緩めている。
 その頬を、むにーんと引っ張る文。
 もちろん、霊夢はその手を払う。

「もう、何すんのよ?」
「何すんのよ、じゃないですよ。お洒落の話してる最中に煎餅食べるって、もうお洒落の欠片もないじゃないですか。霊夢さんは、お洒落すればもっともっと魅力的になると思うのです」
「興味無いわ。可愛い服と煎餅、どっちか選べって言われたら、私は迷わず煎餅を取る自信がある」
「そんな自信、からっぽの賽銭箱にでも捨てて下さいな。へぶふぁ!?」
「殴るわよ?」
「殴ってから言わないで下さい……いたた」

 笑顔だが、なんとなく漫画みたいに怒りマークが、霊夢の頭にあるように見えた。
 文は殴られた頬を手でさすり、霊夢をジッと見る。その視線は、霊夢の足から頭のてっぺんまで、じっくりと絡みついているように思えた。

「な、何よ?」
「よし、霊夢さん、お洒落しましょうか」
「はぁ? だからしないってば。大体、アクセサリーとかそういうもの、私には似合わないわよ」
「ふっふっふ、霊夢さん。今の世の中、ペンダントや指輪などだけがお洒落アイテムじゃないのですよ」
「他には、服とか? 服だって私、そんなに持ってないし……」
「いえいえ、服もそうですが、他にもお洒落アイテムはあります」
「何よ? 勿体ぶってないでハッキリと言いなさいよ」

 ニヤニヤとした笑みを浮かべる文に、何か嫌な予感がしつつも、霊夢は訊ねる。

「それは……ずばり、眼鏡です!」
「え? 眼鏡って、霖之助さんがかけてるような、あの眼鏡? 私、別に目悪くないわよ?」
「眼鏡は眼鏡ですが、お洒落眼鏡ですね。今では目が良い人でも、度の入ってない眼鏡をかけて、ファッションの一つとして取り入れたりするのです」
「へぇ……でも、眼鏡なんて私には――」

 似合わない。そう言おうとした霊夢を、文は荷物を担ぐのと同じように、ひょいっと肩に担ぐ。
 そして、妖しい笑みを浮かべて、部屋を飛び出す。
 突然の展開に、わけが分からない霊夢。とりあえず、暴れることにした。

「ちょ、降ろしなさいよ! おーろーせー!」
「はいはい、良い子だから暴れないで下さいねー」
「大体何処に連れてくのよ! この人攫い!」
「私の家です」
「は?」

 それ以上、文は何も言わなかった。
 空高く飛び、恐怖を覚えるくらいの速度で翔る。
 抵抗が無駄だと悟った霊夢は、大きなため息を一つだけ吐いて、そのまま身を任せることにした。ここで下手に抵抗して、二人とも怪我をしても困る。それに、文から抜け出すことは容易ではない。大人しくすることが、今は一番だった。





◇◇◇





「さぁ、まぁ気楽にそこらへん座って下さいな」
「あんたの家って、初めて来たわ。意外に綺麗ね」
「割と綺麗好きなんです。ごちゃごちゃっとしていると、どうも落ち着かなくて」

 文の室内は、まさに和という言葉が似合う。
 床は畳、そして木製の箪笥や卓袱台。一つだけ、大きな机がある。少し古びたその机は、長い間愛用していることが良く分かった。机の上には、何やらたくさんの資料や写真、新聞が重ねて置いてある。恐らく、普段はその机で記事を練っているのだろう。

「じゃーん! 眼鏡ですよ!」
「……なんでそんな物持ってるのよ」
「以前人里の眼鏡屋さんを宣伝したら、お礼に少し貰いました。もちろん、伊達眼鏡ですけど」
「どんな眼鏡屋よ……」
「さぁ、どれでもお好きなものを着けてみてください!」

 数種類の眼鏡が、霊夢の前に差し出された。
 黒縁の丸眼鏡、四角いフレームの赤眼鏡、そして何故かモノクルまである。
 霊夢は戸惑ったが、とりあえず丸眼鏡を手に取り、装着した。少し幼くなったような、そんな見た目になった。
文は思わず、言葉を発することを忘れ、ただひたすらこのレアな状況をカメラに収めるべく、シャッターを切りまくっていた。

「ちょ、なんで無言で写真撮ってるのよ! あ、こら、撮るなぁ! な、何か言いなさいよ!」
「良いですね、その少し不安そうな表情! 似合ってるかな、変じゃないかな、みたいなおどおどオーラが目に見えるようです! あはははははは! 良い! 可愛いじゃないですか!」
「ひとまずお前は落ち着け!」
「ごふぁっ!?」

 テンションが上がりすぎて明らかにおかしくなっていた文を、博麗霊夢流妖怪退治武術の回し蹴りで落ち着かせた。
 回し蹴りは脇腹に綺麗に入り、文は床でごろごろとのたうち回っている。
 少しして、がばっと起き上がる。やはり妖怪だからか、回復が早かった。

「すみません、少し冷静さを失ってましたね」
「少しどころじゃなかったけどね。気持ち悪いくらいに笑ってたし」
「まぁ過ぎたことですし、水に流してあげますよ」
「え? なんであんたが上から目線なの? 普通それ私の台詞よね?」
「霊夢さん、ちょっとしつこいですよ? そんな細かいこと気にしていたら、成長できませんよ。主にその貧相な胸とか可哀想な胸とか残念な胸とか」
「張り倒すぞ鴉」
「おぉ怖い怖い。あ、次はそっちの掛けてみて下さいね」

 霊夢は全力で殴ってやろうかと考えたが、それはそれで文の思うつぼになりそうなので、ぎりぎり堪えた。
 次に、四角いフレームの眼鏡を装着する。さっきの眼鏡とはまた違い、少し賢そうな、そんな印象を文に与えた。

「ふむ、さっきのを可愛いとすると、こちらは格好良いって感じですかね」
「自分じゃよく分からないけど……」
「良くお似合いですよ。というわけで、また一枚カシャッと」
「あ、こら!」

 文がカメラを構えたのを見て、霊夢は慌てて手を伸ばすがもう遅い。カシャッと言うカメラ独特の音と共に、眼鏡を掛けた霊夢の慌てた姿が写真に収められた。
格好良いはずなのに、その慌てた様子はどこか、少し幼さを漂わせていた。

「あー今日は最高の日かもしれません」
「新聞に載せたりしたら、全力で退治するからね」
「そんなことしませんよ。これは私だけのものです。霊夢さんのこんなレアな姿、他の誰にも見せる気起きませんよ」
「……珍しいわね。いつもなら、こういうネタになりそうなこと大好きなくせに」
「いやーこれはちょっと、なんか他の人に見せるのは勿体ないなと! 私だけのもの、ってなんか良くないですか?」
「いや、私に訊かれても困るけど……。まぁ、あんたが他の誰にも見せないって言うのは、私にとっても良いことだし。じゃあこれは、私とあんただけの秘密よ? 絶対に写真ばらまいたりとか、そういうことしないでよね?」
「はい、もちろんです。私はこれでも約束を破ったことは一度もないので、ご安心を」
「嘘くさ……」

 営業スマイル以上の、とても良い笑顔で文は言った。が、逆にそれが、霊夢にとっては嘘臭く見えてならなかった。
 ジーッと、睨むように文を見つめる。
 文はその視線に気付き、思わず苦笑いを浮かべてしまう。頬を人差し指でぽりぽりと掻き、あははと笑った。

「わ、私そんなに信用ありませんかね?」
「普段の自分の言動、思い返してみなさいよ。それで信頼を得ていると思っているなら、あんたはとんでもないくらいに、おめでたい頭してるわよ」
「うぐぅ……そこまで言わなくても。第一、私と霊夢さんは、地底を一緒に潜り異変を解決した仲じゃないですかっ!」
「実際潜ったのは私で、あんたは私を良いように使っていただけよね」
「うぐぐぅ……そ、そんなことないですもん! わ、わわ私は霊夢さんを信頼していたからこそ、一人で行かせたのであってですね。そ、それに私ちゃんとサポートしましたし!」
「むしろあんたのサポートのせいで、事故りまくってた記憶があるんだけど?」
「ぐふぁ!?」

 霊夢の一言が、見事文にとどめを刺した。
 その場に膝から崩れ落ちる。無駄にオーバーリアクションだ。そして、演技派だ。しばらく突っ伏したまま動かない。
 霊夢は、少し言いすぎたかな、とちょっと罪悪感。

「えっと、文、起きなさいよ」
「私は酷く傷付きました。どれくらい傷付いたかと言うと、数十年一緒に過ごした家族にある日突然、お前は本当の子じゃあないからくたばれ、と言われた子どもくらい、傷付きました」
「それは中々にダメージ大きいわね。あーもうっ、子どもみたいに足ばたつかせないの!」
「ぶーぶー! 霊夢さんのばーかー!」
「なんで幼児化してるのよ! だから足ばたつかせない! その、えっと、ばたつかせすぎて下着見えてるから!」
「霊夢さんのえっちーへんたいー誰か助けてくださいー霊夢さんに襲われちゃいますー」
「っ!」

 わざとらしく棒読みで、そしてキャーキャーと煩い文に、霊夢はとうとう――



 ~少女お仕置き中~





「いや、本当すみませんでした。調子乗りました」
「反省した?」
「ごめんなさい」

 数分後、そこにはボロボロになった文がいた。
 霊夢の博麗式お仕置きコースをくらって、反省したようだ。今は正座でぷるぷると震えている。しかし、何故か表情は笑顔。それがまた、恐ろしい。どんなお仕置きをされたかは、霊夢と文しか知らない。

「よろしい。今回は許してあげるわ」
「わぁい! それじゃあ、次はモノクルを。さぁ、早くしてくださいよ。こっちは写真撮る準備万端なんですから!」
「反省の色がまったく見えないんだけど?」
「気のせいですよ、多分。そんなことより、さぁ、早く!」

 もうすっかり反省の色が見えなくなった文に、霊夢はため息を零した。
 これ以上怒ったりしたところで、文には効果がないだろう。それが今までの付き合いで分かっている霊夢は、大人しくモノクルを手に取った。

「えっと、これってどうやって……」
「あぁ、これはこうやってですねー紐でかけるタイプでしてー」

 霊夢は、モノクルなんて今まで一度も触ったことがない。そのため、どうやって装着すればいいのか分からなかった。適当にいろいろ試して、自分で装着するという方法もあったのだが、それをやってもしも壊してしまったら、申し訳ないという気持ちがあった。
 仕方なく、文に装着してもらう。文の手が耳や髪に擦れ、霊夢は少しくすぐったさを感じた。

「ん、どうかしら?」
「霊夢さん、私の嫁に来ませんか?」
「モノクルで!?」

 モノクルを装着した霊夢は、いつもとは全く違う雰囲気を纏っている。先ほどの四角いフレームも、中々に知性的だったが、モノクルはそれ以上だった。
霊夢がモノクルをかけているという、そのアンバランスなギャップから生まれる可愛さが、確かにそこには存在した。もちろん、知性的な雰囲気も生まれている。つまり、可愛い上に知性的。さらに、霊夢の普段を知っている文からすれば、このギャップは洒落にならないくらいに大きかった。
文は思わずニヤニヤとしてしまいそうになるが、それを必死に抑えて、カメラのシャッターを切る。

「えっと、似合ってるの?」
「似合ってると言いますか、もうヤバイです。軽く兵器ですね。責任とって、私と結婚しましょう」
「寝言は寝て言えバカラス」
「いや、でも本当、可愛いですよ。それに格好良いです。んー……やはり、霊夢さんという素材が良いからでしょうか」
「褒められて悪い気はしないけど、文は似合わなかったの?」
「うーん、一度着けたんですけど、ちょっと私には合わなかったと言いますか……」

 苦笑い気味にそういう文だったが、霊夢は文だって似合うのではないだろうかと思った。
 霊夢はモノクルを外す。そして、文に差し出した。

「あんたも掛けてみてよ」
「え? いやー、私はモノクルは遠慮しておきますよ」
「そう? じゃあ、こっちの四角いやつ」
「遠慮しておきます」
「じゃあ、丸い――」
「遠慮しておきます」
「……なんでよ?」
「眼鏡を掛けた自分の顔は、あまり好きじゃないんですよ。自分じゃないような気がして」
「私には掛けさせたくせに」
「あははー良いじゃないですか。霊夢さんは似合ってますからっ」

 そう言われても、霊夢は納得できない。
 ぐいぐいと眼鏡を押し付ける。
 いやいややめてください、と文。
 掛けろやこら、と霊夢。

「やですー!」
「あぁもうっ、なんでそんなに嫌なのよ?」
「だって、その……ちょっと恥ずかしいじゃないですか」
「何を恥ずかしがってるのよ。良いじゃない、ちょっとくらい」
「とうっ!」
「あ、こら!?」

 勢いよく外に飛び出し、逃げる文。しかし、霊夢の投げた針が文の後頭部にぷすっと。文はその場にぱたりと倒れる。

「い、いくらなんでも頭は酷いかと……」
「妖怪だから大丈夫でしょ。逃げるあんたが悪い。さぁ、掛けてもらおうかしらー。あ、もちろん写真も撮ってあげるからね」
「酷い! 鬼! 悪魔! 貧乳腋巫女!」
「よし、もう容赦しない」
「きゃ、きゃああああああああああああ!」

 文の珍しく可愛らしい悲鳴が、妖怪の山に響いた。
 眼鏡を掛けた文が、どういうものだったかは、文と霊夢しか知らない。
 



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