絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

そうだ、外出をしよう!

紅魔館どたばた。




 

「外行きたい」

 フランドールのその一言に、レミリアは頭を抱えた。
 以前の地下暮らしと違って、今は紅魔館内くらいなら、自由に動いても良いということを許可している。
 だが、外に出るとなると、難しい。外はフランドールにとって、未知の経験、それは刺激的なことばかりだろう。その刺激が、良い方向へ向くこともあるだろうが、当然悪い方向へと向いてしまう可能性だってある。
 今まで自分から外に興味を持つことなんてなかったフランドールが、自主的に外に出ようとしている。興味を持っている。その事実に、レミリアは簡単に「ダメ」と言うことは出来なかった。

「じゃあ、条件を出しましょう」
「条件?」
「えぇ、紅魔館の私を含めたメンバーを倒していきなさい! そして、もしフランの外出が決定した場合、必ず咲夜を連れて行くこと」

 レミリアの考えた案は、フランドールが紅魔館メンバーと弾幕ごっこをして、全てに勝てたなら外出許可を出すと言うものだった。これならば、紅魔館メンバーが勝った場合でも、フランドールが不貞腐れることなく、弾幕ごっこを思う存分出来て遊べたと言うことで、満足させられるかもしれないという考えだった。
 そして、もし負けた場合でも、咲夜が付いていれば安心だろう。レミリアは、そう考えた。
 フランドールは、うーんうーんと少し悩んだ後、にぱっと笑った。

「うん、それで良いよ」
「なら決定ね。じゃあ準備をするから。そうね……一時間後に、部屋から出てきて頂戴。そして、襲いかかる刺客と弾幕ごっこね」
「ん、りょーかいだよっ!」

 素直に部屋に戻るフランドール。
 レミリアは顎に手をやり、考え込む。「……咲夜」とだけ呟くと、次の瞬間にはレミリアの隣に咲夜が目を瞑って立っていた。

「パチェと美鈴、あと妖精メイドたちを集めて。小悪魔もね」
「了解です」

 作戦会議の始まりだ。
 パチュリーの知恵、咲夜の冷静な判断、美鈴の攻撃予想アドバイス、小悪魔の魔法トラップ、妖精メイドの雑談、これらが全て混ざって、究極の作戦が出来上がった。
 そして、もう一時間が経過した。





「さて、お姉様たちを蹴散らそー」

 フランドールが、地下の重い扉を開ける。
 ゆっくりと階段を上り、もう見慣れた長くて赤い廊下に出た。未だ、何の気配も感じられない。そのことが、フランドールの警戒心をより強める。いつどこから誰が来るか分からない。

「油断は禁物、かな」

 すると、なにやら音が聞こえてきた。
 何かが物凄い勢いで近寄って来ていることが分かるほどに、地面は揺れ、音は近付いてきている。
 フランドールは警戒態勢に入る。

「さぁ、なんでもこーい!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「って、怖っ!?」

 フランドールの視界に現れたものは、グングニルを持ったレミリア、拳に気を溜めこんだ美鈴、大量の銀のナイフを宙に浮かしている咲夜、本を振り回している小悪魔、賢者の石(ベテラン用サイズ)に跨って突撃してくるパチュリー、その背後を紅魔館の全妖精メイドが走ってついてきている。
 みんながみんな、超全速力でフランドールの方へと突進してきている。
 これにはさすがのフランドールも予想外で、思わず逃げる姿勢をとる。というか、逃げないといろいろと危ない。

「驚いた、フラン? これが紅魔館の結束よ! 最初から全員全力全快! みんな、このままフランに突撃よおおおおおおおおおおおおお!」
「ちょ、それ、反則!? 大体普通、一対一かと思うでしょ! ストップ! みんなストップ!」

 フランドールの叫びに、全員がなんだなんだ何が問題なんだ、とぶつぶつ言いながらも足を止めた。
 ホッと一息。

「みんなそこに正座!」
「何を怒っているのよ、フラン」
「いいから正座!」
「あ、はい、なんかごめんなさい」

 フランドールの勢いに押されて、全員素直に従い正座。
 廊下での正座は、冷えるし痛い。しょんぼりしている妖精メイドがちらほらいる。

「普通はこういうの、一人ずつ戦うものだと思うんだけど?」
「いやーそれは普通すぎるってパチェが」
「そう、私が全員で一気にかかるのはどうかと提案。そして次に咲夜が……」
「私が、ならば最初から全力はどうだろうと提案しました」
「何をどう思ってそんなことになるのさ! やり直し!」
「えー……フラン、また作戦会議するの面倒なのだけど」
「いいからやれやお姉様」
「はい、すみません」

 笑顔で般若のオーラを放つフランドールに、レミリアは素直に頷くしかなかった。
 今度の時間は三十分だ。
 フランドールを部屋に戻し、レミリアたちは再び作戦会議を始める。

「さぁ、どうしようか」
「レミィ、こんなのはどうかしら?」
「いやいや、パチュリー様、こんなのはどうでしょう?」
「それよりも、私の時を止める力を使ったこちらの作戦の方が……」
「ちょ、小悪魔さん、そこはだめぇ……」
「ふふ、そんな短いスカート穿いてちゃ、私みたいな悪い人に捕まっちゃいますよ」

 パチュリーのオーソドックスな提案、美鈴の真っ向勝負作戦、咲夜の奇襲作戦、妖精メイドの服にすっと手を入れてごそごそむにゅむにゅしている小悪魔、これら全ての意見を取り纏めるレミリア。
 そして、気付くと既に三十分が過ぎていた。
 慌てて配置に着くメンバーたち。
 改めて、勝負が始まった。







「さて、気を取り直していこう」

 フランドールは目を瞑って数回深呼吸をし、扉を開けた。
 さっきと同じように、すぐに広い紅魔館の廊下へと出ることが出来た。

「なっ!? これは――」

 そこでフランドールが見たものは、想像の斜め上をいく光景。

「な、なんでみんな倒れてんのさ!?」

 そう、何故か全員廊下に倒れていた。
 白目をむいている者、口から赤い液体を出している者、瞳に光が無い者など、様々だ。子どもがこの光景を見たら、軽くトラウマになること間違いなしだ。
 慌てて近くに倒れている妖精メイドを抱き抱えて、心音を聴いてみる。とくんとくんと、鼓動が聴こえる。つまり、死んでない。

「え? 何これ死んだふり?」

 フランドールはそう呟くが、誰もぴくりとも反応しない。
 妖精メイドの頬を引っ張ってみる。いやいややめてと首を振ったが、声は発さず死んだふりを続けた。
 美鈴の耳をこしょこしょしてみる。んゃ……ふぁ、っと息を漏らしたが、言葉は発さず死んだふりを続けた。
 レミリアの鼻と口を両手で塞いでみる。数十秒で肩を震わし、数分で足がじたばたし始めた。そしてレミリアはフランドールの腕を掴み、引き剥がすと、勢い良く起き上がった。

「ぶふぁ!? お花畑と死神と閻魔が見えたわ!」
「で? なんで死んだふりをしていたのさ?」

 レミリアが演技をやめると、さっきまで死んだふりをしていた他のメンバーも、ふりをやめた。そして、みんな立ち上がる。

「作戦その二、勝利されるのが嫌なら、最初から敗北しておけばいいじゃない作戦」
「ねぇ、お姉様」

 フランドールは、とっても良い笑顔でレミリアの肩に手を置く。
 そして、ゆっくりと力を込めた。骨の軋む音が、他のメンバーにも聞こえた。

「真面目にやってくれないと、私そろそろ我慢の限界だな~」
「あ、いや、本当ごめんなさい。痛い痛い、肩とれちゃう」
「いっそとれちゃえば良いんじゃない?」
「や、それはちょっと痛いかなーって。そんなことしたら、私の肩がスカーレットになっちゃう」
「意味分かんないんだけど」
「あ、折れた」

 肩が発してはいけない音を発して、残念なことになった。

「最後のチャンスね。次は十分後。分かった?」
「フラン、目が怖い」

 フランドールはそれ以上何も言わず、部屋に戻った。

「作戦たーいむ!」

 叫ぶレミリア。
 やっぱり普通に弾幕ごっこが良いのではないのか。いや、それではシンプルすぎる。などなど、様々な意見が飛び合う。
 しかし、今回はたったの十分間。
 もう無理矢理にでも、意見を纏め上げるしかなかった。






「さぁて、次ふざけてたら、顔面どかーんしちゃおうっと」

 キュートなフェイスでデンジャラスなことを口にしているフランドール。
 そして、再び廊下へ。

「え?」

 そこでフランドールが見たものは――

「パチェが変なこと言うから纏まらないんだろう!」
「私より咲夜の方が!」
「なっ!? 私は安全を考えて――」
「うふふ、いけないボディですね、美鈴さん」
「あ、小悪魔ちゃん、やめ……」

 仲間割れしていた。
 妖精メイドはもはや眠っていた。
 小悪魔はどさくさに紛れて、美鈴にちょっかいを出していた。

「何やってんのさ、みんな!」
「ほら、フランが来ちゃったじゃない!」
「だから咲夜のせいで!」
「私よりもむしろお嬢様の意見が!」
「いい加減にしろぉ!」



 ~少女説教中~



「え、なんでそっちから条件出してるのにしっかり出来ないの? 頭悪いの? 人が説教してるのに、パチュリーは何賢者の石でドミノとトランプタワーしてるの? そして、なんでお姉様はまた死んだふりしてるの? あと咲夜はそんなに泣かないでよ、怒りすぎたね、ごめんね。美鈴と小悪魔は、もうベッド行ってやってよ鬱陶しいな」





 なんやかんやで、説教は軽く数時間に及んだ。
 フランドールの目の前で正座する、レミリアとパチュリー。説教途中で、咲夜は泣いてしまったため部屋に戻され、小悪魔と美鈴はいつの間にか消えて、妖精メイドはふらりと消えた。

「反省した?」
「あ、ごめんなさい妹様。今頭の中で一人オセロしてたから聞いてなかったわ。あ、それロン」
「うん、パチュリーは後でカゴメカゴメね。あとそれ、オセロじゃなくて多分麻雀だよ。お姉様は反省した?」
「ごめんなさい」
「よろしい。はぁ、疲れちゃった……なんかもう、外行かなくて良いや。別に紅魔館の中でも退屈しないし。部屋戻ってお昼寝でもしてくるよ。じゃあね」

 フランドールは大きなため息を吐いて、部屋に戻った。
 その姿が見えなくなると、レミリアとパチュリーは足を崩す。

「いたた、足が痺れたわ」
「けど、言った通り、上手くいったでしょう? 私たちが全力でふざければ、妹様は退屈しないし、外出も諦めるだろうって」
「そうね、パチェの言う通り。けどね、外出を禁止してるわけじゃあないから。いつか、近いうちに神社にでも連れて行くさ」
「あら? 良いの?」
「当り前よ。あの子に外の世界を見せてあげたいもの。意地悪で外出禁止をしてるわけじゃあないわ。ただ、まだ時期が早いだけ」

 ふぅ、と息を吐いて立ち上がるレミリア。
 パチュリーも、ゆっくりと立ち上がった。

「その時は、パチェも一緒に来るか?」
「遠慮しておくわ。姉妹で楽しんでらっしゃい」
「咲夜は連れてくけどね」
「それが良いわ。ま、レミィと咲夜が居ない間は、私に館は任せておきなさい」
「あはは、頼むとするよ。この平和な幻想郷で、襲撃してくるやつなんていないだろうけどね」
「ふふ、それもそうね」

 互いに小さく笑い合う。
 そして、部屋に戻った。
 どたばたとした一日だったが、フランドールの暇は潰せただろう。
 



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