絶対あめだま宣言!

好きなことや様々なことを、ただ適当に綴ります。SS書いたりなど。あやれいむ布教委員会の会長です。

なんだかんだで仲良い二人

あやれいむー。あやとれいむであやれいむー。


 

「あんたってさぁ、なんか人間っぽいわよね」
「はい?」

 霊夢の言葉に、文は首を傾げた。
 割といつも通り、取材と言う名のただ縁側でお茶を一緒に飲むだけ。そんな中、さっきの一言だ。文からすれば、何を言っているんだこの巫女、な状態である。

「だってさ、別に暴れたりもしなければ、私とこうやって普通にお茶飲んでのほほんとしてるし」
「長く生きている妖怪は、馬鹿みたいに暴れたりなんかしませんよ。紫さんや幽香さんが良い例です。あの方たちは、強大な力を持ちながらも、決してその力を暴れることに使ったりはしない。それは長く生きたからこそ得た経験や知識、そういうものが備わっているからです。そしてそれは私も同じ」
「でも、紫は人間にはない、どこか不気味さを感じるし、幽香だってたった一睨みで、相手に恐怖を覚えさせるし。けど、文にはそういうのないなぁって思ってね」

 取材時には、どんな相手でも敬語と笑顔。
 プライベートでも、割と親しげに、砕けた口調で人とコミュニケーションを取ることが多い。
 紫のように神出鬼没に現れたりしては、何を考えているか分からないということも特にない。

「ふむ……じゃあ、妖怪らしくしてあげましょうか?」
「へ? どうやってよ?」
「ほーら、食べちゃいますよ~!」
「……」

 両手をあげて、霊夢を押し倒そうとする文。
 霊夢は、無言で、頭突き。

「鼻が痛いっ!?」
「ったく、馬鹿なことしてんじゃないわよ」
「鼻が痛い痛い~! 折れました~! 痛い~!」
「……どれ、見せてみなさいよ」

 顔を押さえて、縁側をごろごろと激しく回る文を見て、霊夢はため息を吐くと同時に、少しだけ罪悪感が湧いた。

「まぁ嘘なんですけどね。妖怪だし、これくらい全然大丈夫です。キャー霊夢さん心配してくれるなんて優しいー!」
「……」

 霊夢は、無言で、耳に陰陽玉(お子様からご老人まで安心のお子様サイズ)をぶつけた。
 虫さえも鳴いていない、夏の空の下。とっても鈍い音がした。

「ちょ、いったぁぁぁぁぁぁい!? 今鈍い音しましたよ!? ゴッって言いましたよ!?」
「本当なら顔の骨も砕きたかったんだけどね」
「怖っ!? この巫女怖っ!」

 未だに陰陽玉をしまおうとしない霊夢に、落ち着け落ち着けと両手でジェスチャー。
 待ってください霊夢さん、話せば分かります。
 霊夢、首を横にぷるぷる。
 せめて話し合いましょう。
 再び、首を横にぷるぷる。
 文、思わず笑顔。生き物は、どうしようもない状況に追い詰められたとき、何故か笑うそうな。
 霊夢、思わず笑顔。生き物は、獲物を追い詰めたとき、思わず笑みを零してしまうそうな。

「ふっ! 諦めると見せかけて、幻想風靡!」
「なっ!?」

 文を追い詰めていたはずが、いつの間にか視界から消えた。
 本気を出した文は、目にも映らないほどの速さへと加速する。妖怪でさえ視界に捉えられないものを、博麗の巫女とはいえ人間が捉えられるはずが無かった。
 既に文は遥か上空へと逃げていた。

「ふふ、速さは全てにおいて勝利をもたらすのです。さようなら、霊夢さん!」
「甘いわね」
「え?」

 いつの間にか、文の目の前に霊夢。
 その事実に、思わずさっきまで霊夢が居た縁側の方を見下ろしてみると、やはりそこには霊夢の姿はなかった。つまり、目の前の霊夢は分身や幻覚などではなく、まさに本物だということ。

「な、どうやって――」
「夢想亜空穴。速さなんて関係なしに、この距離程度なら一瞬ね」
「……この私が逃げられないなんて」
「あら、知らなかったの? 博麗の巫女からは、逃げられない」

 どこぞの大魔王みたいなことを言う霊夢の顔は、やっぱり笑顔だった。
 文もまた、笑顔だった。

「手加減は?」
「あると思う?」
「いいえ、まったく」

 文は思考回路をフル回転させる。
 この状況を逃れるには、どうすれば良いか。危機的状況に陥った文は、奇跡的に10秒で890通りの逃げ道を考えついた。しかし、どれも上手く逃げられる可能性は低かった。たった一つの方法だけを除いて、だが。
 ある意味禁じ手であるその一つの方法を、文は行う決意をした。
 すぅっと息を吸い、下を思いっきり指さし、叫ぶ。

「あー! お賽銭入れてる人が居ます!」
「なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「もらった! 博麗の巫女敗れたり!」

 たった一瞬の隙を、文は見逃さなかった。
 幻想郷最速の蹴りをしようとして――やめた。怪我をさせたくないから。というわけで、殴ろうとした。が、人間の女の子を殴る気はしなかった。
 蹴るのもダメ、殴るのもダメ。そして、この隙を逃したら、嘘を吐いたことにより、自分の身がさらに危険。
 そう考えた文の攻撃は、ただ一つ。

「抱き締めるしか!」

 相手の身動きを封じつつ、傷つけない方法。
 それは、抱き締めることだった。
 霊夢が嘘だと理解し、怒りに身を任せ攻撃に転じようとした時には既に遅かった。

「ちょ、こら! 離しなさい!」
「嫌です! 離したら攻撃してくるでしょう?」
「当り前よ!」
「じゃあ誰が離しますか!」

 空中でぎゃあぎゃあと暴れる二人。
 霊夢はふにゅり、と柔らかいものに無理矢理顔を埋めさせられる。それは、確認しなくても分かる。霊夢よりも大きい、文の胸だ。決して、文の胸が特別大きいわけではないが、それでも霊夢よりは大きい。そう、霊夢よりは大きいのだ。もちろん、霊夢はまだ成長過程であって、これから大きくなる可能性だってあるだろう。だが、現時点では、霊夢の胸は文の胸よりも、確かに小さいのだ。

「ちょ、落ちるって!」
「霊夢さんが暴れるからでしょう!」

 バランスが取れず、落下していく。
 暴れつつも、霊夢を怪我させまいとより強く、ぎゅっと抱きしめる。
 妖怪ならこの程度から墜落しても余裕だが、人間の場合どうなるか分からないからだ。文は自分を犠牲に、霊夢を守ろうとする。

「地面衝突する! 離しなさいって!」
「あーもう、暴れない。私が守りますから」
「じゃなくて! あんたが私を解放すれば、二人とも普通に空飛んで助かるでしょ!」
「……あ、なるほど」

 そのことに気付いた時には、既に地面に――



 ~少女地面激突中~

 ※しばらくお待ちください。

 ~少女回復中~



「ふぃ、復活です」
「さすが妖怪ね。こういうところ見ると、うん、人間っぽくはないわね」
「怪我はしませんでしたか?」
「私は大丈夫よ。その、一応あんたが守ってくれたし……」

 ぷいっとそっぽを向いて言う霊夢を見て、思わずにやにやとする文。

「別にお礼は言わないからね。あんたが離せば済むことだったんだし」
「はい、お礼なんて求めてませんよ。私が勝手に霊夢さんを守りたいなーって思っただけですからね」
「っ……」
「でもまぁ、嘘吐いたこととかはこれで見逃して欲しいなぁなんて思ったり」

 へらへらとした笑みを浮かべて、そんなことを言う文に、霊夢はため息を吐いた。

「はぁ……もう別に怒ってないわよ」
「わぁい、霊夢さん優しいー。ついでに冷めたお茶を新しいのに変えてくれると、より優しいー」
「調子に乗るなっ!」

 文の額に、軽くデコピン。

「痛っ! むぅ……」
「はいはい、不貞腐れない。分かったわよ、今淹れてきてあげるから」
「わーい、私霊夢さんのそういうとこ、大好きです」
「まったく、調子良いんだから……」

 笑顔の文に、本日何度目か分からないため息を吐く霊夢。
 さっきまでは、ぎゃあぎゃあ争っていたくせに、今ではもう落ち着いている二人だった。



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